2014年05月21日

PC遠隔操作事件の顛末について


PC遠隔操作事件には「してやられた」と思う。まさに「お見事」としか言いようがない。何が「お見事」かというと、片山被告の「演技」が、である。多くの人々が騙された。担当弁護士の全員が騙された。ツィッター利用者の多くも騙された。

その中で、私が騙された原因だけをちょっと考えて見るに、その大きなものから順番に挙げると次のようになると思う。

@捜査機関やマスコミへの不信感
A片山被告の演技の巧みさ
B弁護団へのシンパシー

このうち、何と言ってもダントツなのは@である。過去にありとあらゆる「冤罪」を作り上げてきたこれらの「下手人」を、正直申し上げるならば今回も私は当初から疑ってかかっていた。最近冤罪であることが確定した「袴田事件」「村木事件(郵便不正事件)」「志布志事件」「松本サリン事件」古くは「松川事件」「三鷹事件」などなど、枚挙にいとまのない捜査機関の強引な不当捜査、それに加えてリーク報道を含めたマスコミの一方的な報道。当局とマスコミがグルになって行なってきた、これらの事件における「世論操作」「世論誘導」の数々。一言で言えばその「実績」の存在が、私の判断を狂わせたのだろうと思う。ただし「狂わせた」のは事件の顛末についてのみであり「権力は常に卑怯な手を使う」ということは、依然として厳然たる間違いのない事実だ。その「手法」は、今回の事件においても、まさに十二分に発揮されてきたと言える。卑怯な手を使った結果が、今回たまたま「当たりくじ」だっただけ、だと私は思っている。

次のA片山被告の演技の巧みさであるが、これは確かにある。彼のどちらかと言うと控えめで口下手で、人付き合いの苦手そうなキャラクターと言うのは、彼の無実を私に信じこませる2番目の要因となった。また、時折母親に対して見せる優しい気遣いなどもそれに影響しているだろう。更には、結果的にどんでん返しを食らうわけだが、彼のプログラマーとしてのプロフェッショナルスキルが「さほどでもない」という、今回のシナリオ設定。これらのことが相まって、私の中に「片山無罪説」が形成されたのだと思う。しかし、結果的にそれは先程も言ったとおり「どんでん返し」を食らうことになる。今回の大きな問題のひとつは、私は「演技」と表現したわけだが、彼にとってそれが実は「演技」であって「演技」ではなかった、という点にある。

■サイコパス【psychopath】精神病質(その人格のために本人や社会が悩む、正常とされる人格から逸脱したもの)である人。提供元:「デジタル大辞泉」

この種の人間は、顔色一つ変えずに嘘がつけるらしい。また、自分で「演技」と自覚せずに「演技」を行ないうるというのだ。今回「真犯人のメール」を(江川紹子氏から)法廷の休憩時間に見せられた折、彼はごく自然に顔を紅潮させたらしい。自分にはそういうことが自然に出来るのだ、と彼は自ら佐藤博史弁護士に語っているという。それだけではない。彼は自分が「サイコパス」であることを認める発言さえしているのだ。

次に、この事件の「動機」についてだが、これはやはり間違いなく「愉快犯」ということになるのではないかと思う。今回、彼が真犯人ではないということの根拠として、彼自身や弁護団が主張してきたことにうちに、彼のプロフェッショナルスキルがある。つまり、真犯人はなるほどC#を駆使した巧妙なプログラムを作る能力はあるが、片山被告はといえば、職場でもあまり評価されていないし、使える言語もJAVA他少ないものであった、というような舞台設定が、今回の事件のシナリオにはあった。

その意味で、今回の事件顛末後に、片山被告が「真犯人のメール」を送った動機として自ら語っている「この裁判を早く終わらせたかったから」という言葉を、私はもっと別の意味に捉えている。それはつまり「自分自身を無罪として裁判を早く終わらせる」という意味では必ずしも無い、と私は考えているのだ。そしてその「別の終わらせ方」が、まさに今回の顛末だったのではないかと、私は思っている。要するに今回の結末は、彼自身も納得の上のことではないか、ということなのである。

もう少し詳しく述べてみよう。ここからは彼の「心理分析」の話になる。片山祐輔被告はあくまで「愉快犯」であったわけだ。そして「愉快犯」に必ずついてまわる属性(欠点)として「自己顕示欲」というものがある。彼は、事件を振り返って、たまたま物事がトントン拍子に運んでしまったため「引き返せなくなった」というようなことを言っているが、それは本当だろうか?これは嘘ではないかと思うのである。この事件は「たまたまトントン拍子に」というレベル以上に「計画的な」「練られた」「用意周到な」ものであったと思うのである。今回の事件の中で、彼と彼の弁護団は、常に「真犯人」をある意味「神格化」し、そのスキルを「賞賛」してきている。その一方で片山被告自身は、常に「駄目プログラマー」を演じ続けてきた。ところがその「駄目プログラマー」が実は犯人だった、という「どんでん返し」を、彼は最初から華々しい「物語のクライマックス」として意図していたのではないか?つまりこの事件はその、言うなれば「快楽」のために存在した犯罪だったのではないか、と私は考えている。その「快楽」は、彼にとって1000万の「保釈金没収」や、何年間かの「懲役」と相殺しても更に余りある甘い「快楽」だったのではないか?あたかも「さなぎ」から「蝶」への脱皮のような。このことは、例えば発覚後に片山被告が連行される際の「勝ち誇ったような薄ら笑い」に現れているのではないかと思うのだ。

B弁護団へのシンパシーについては多くを必要としないだろう。弁護団特に佐藤博史弁護士の弁護は素晴らしかったと思う。刑事裁判弁護人の仕事はこうあるべき、という模範的な弁護だったと思う。今回の顛末が、彼の経歴、仕事にいささかの瑕をつけるものでもないし、彼は弁護人としての義務を立派に果たしたと思う。今回の事件を以って彼を批判する人々(殊にネトウヨ)には、私は断固抗議したいと思う。

今回、私を含めて「片山無実説」でツィートなりブログ発表を行なってきた人々が、事件の結果を受けてツィッターで叩かれているのは、案の定であるが、実に面白い現象であると思う(尤も私の場合は知名度がないせいか、それほどのバッシングは無い、と言うか殆ど無い)。それに対して「それ見たことか」と、鬼の首を取ったように例えばIWJの岩上安身氏や、私同様ブログ等で権力批判をしている作家で歌手の八木啓代氏などを叩くネトウヨの如何に多いことか。彼らの特徴は、結局「国家権力」「検察警察権力」の肯定である。同時にそれはマスコミへの無批判にもつながる。

今回の意外な結末の「弊害」は、以上に述べたことに尽きる。このことにより捜査機関の不当な「拘束」や、報道機関への汚い「リーク」などが免罪されはしないかということだ。また、事件の当初にNHKの行なった、あの悪質な「猫カフェ隠し撮り」放映などの「人権侵害」が、正当化されることもである。これらは今後、及び現在進行中の「冤罪事件」にも暗い影を落としそうで怖い。

最後に。きっこのブログさんが、この「PC遠隔操作事件」を総括されておられるが、これもまさに「お見事」としか言いようがない。彼女が、事件当初から実に客観的に経過を見守っていたことが分かる。一読をお勧めする。

PC遠隔操作事件について(きっこのブログ)

【岩上安身のツイ録】PC遠隔操作事件、片山祐輔被告の自白を受けて

PC遠隔操作事件:すべての謎が解けたあとに残るもの(八木啓代のひとりごと)



posted by takashi at 14:34 | Comment(9) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
納得!同感!
Posted by アマヤ at 2014年05月21日 21:08
安田弁護士というのは佐藤弁護士の書き間違いと思います。
Posted by 通りすがり at 2014年05月22日 06:50
通りすがりさん、

ありがとうございます。何故か一箇所だけ「佐藤弁護士」とすべきところが「安田弁護士」となっておりました。早速訂正させいただきました。実はご察しとは思いますが、この文章を書きながら「光市母子殺人事件」のことを、ちょっと考えておりまして、そのせいだったと思います(笑)。

なお、次回からのお書き込みは別ハンドルでお願いします。詳しくは<注意事項>をお読みください。
Posted by たかし at 2014年05月22日 10:33
いいえ、騙された最大の原因は無知さです。
江川紹子さんはPCに関する知識を身につけた結果
片山容疑者を疑うようになっていきました。
正しい知識とそれを元にした想像力、それが大切な
ことなのだと思います。
Posted by Masa at 2014年05月22日 15:38
Masaさん、

江川紹子さんは途中から片山容疑者を疑うようになったのですか?知りませんでした。もしソースがあったら教えて下さい。
Posted by たかし at 2014年05月22日 15:59
<追記>
今、江川さんのツィッターをチェックしましたところ20時間前にこんなことをつぶやいていました。

Shoko Egawa ‏@amneris84 20時間
.@bilderberg54 ありがとうございます。シロかクロかについては、私の心証は「よく分からない」という域をずっと出ませんでした。法廷で検察側の証拠を見たり証言を聞けば怪しいなと思い、弁護側の話を聞くとどうなのかなと思い、弁護側のPC解析が済むまで予断は持たずにいよう、と
Posted by たかし at 2014年05月22日 16:32
ここらへんもそうですね
痕跡を残さずに遠隔操作ができるスーパーハッカーが実在すれば別なのですが、彼はそれがいるように
見せかけようとして大失敗したのだと思います

Shoko Egawa/@amneris84 2014/05/20(火) 20:36:14 via web
続)捜査の問題点を突いてきたので、裁判はそれなりに続いていたけれど彼のPCの解析を進めても、彼が遠隔操作をされていた証拠は出てくるはずはなく、いずれ有罪判決は免れなかっただろう。それまでにかかる相当の時間と手間を回避できた最大の功労者は、気づかれずに彼の行動確認していた捜査員(続
Posted by Masa at 2014年05月22日 16:46
Masaさん、

しかしこれらのツィートはどちらも片山被告の「自首」よりも後のものですよね。それよりもっと前、少なくとも1週間前のあの「真犯人メール」よりも前には、江川氏は片山氏を疑っていたのでしょうか?そういうツィートはありますか?

>シロかクロかについては、私の心証は「よく分からない」

というのも私には「結果論」に思えるのです。

どちらかと言うと江川さんも私の@のパターンで片山被告の無罪を信じていたように思えるのです。きっこのブログでは、片山氏が江川氏にシンパシーを持っていたというようなことも書かれています。

>江川紹子さんはPCに関する知識を身につけた結果
片山容疑者を疑うようになっていきました。

それと、これの具体的な例を教えていただけませんか?
Posted by たかし at 2014年05月22日 17:14
なんだお前、自身の反省は全く無いのかよ
なにが騙されただよ、民主に投票した愚民と同レベルだわ
お前が日本の恥だよたかしちゃん(嘲笑
Posted by ワロタ at 2014年07月10日 11:13
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