(日本国憲法より)
第七条[1] 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
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つまりだ。政府によって都合の悪い「お言葉」が、天皇の口から発せられないという「保証」は、何処にもないといえる。
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(平成24年3月11日東日本大震災1周年追悼式)
東日本大震災から1周年,ここに一同と共に,震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します。
1年前の今日,思いも掛けない巨大地震と津波に襲われ,ほぼ2万に及ぶ死者,行方不明者が生じました。その中には消防団員を始め,危険を顧みず,人々の救助や防災活動に従事して命を落とした多くの人々が含まれていることを忘れることができません。
さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより,危険な区域に住む人々は住み慣れた,そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。
この度の大震災に当たっては,国や地方公共団体の関係者や,多くのボランティアが被災地へ足を踏み入れ,被災者のために様々な支援活動を行ってきました。このような活動は厳しい避難生活の中で,避難者の心を和ませ,未来へ向かう気持ちを引き立ててきたことと思います。この機会に,被災者や被災地のために働いてきた人々,また,原発事故に対応するべく働いてきた人々の尽力を,深くねぎらいたく思います。
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この中の、原発に関する部分は、NHKでも民放でも一切放送されなかったことは、我々の記憶に新しい。他にも、誕生日や即位記念日などで天皇は、政府の暴走に、暗に「歯止めをかける」ようなことを述べている。七二歳の誕生日の際には「日本の過去の歴史について正しく理解することが大切」、即位20年記念式典前日の記者会見においては「過去の歴史が忘れられていくのが心配」。また、園遊会において、東京都教育委員長に対し「国旗国歌は強制でない方がよろしい」と、述べている。
先日も述べたが、日本国民の大半は「天皇主義者」なのだ。つまり「天皇が大好き」「天皇をご尊敬申し上げている」のだ。天皇のお言葉は、大多数の国民に、想像以上の影響を与える。天皇が万が一にでも原発に対して批判的な「お言葉」を述べた場合、国民の中に「反原発」は瞬く間に、今以上に広がるだろう。つまり、天皇の「自由意志」で今回の山本太郎の信書に、直接触れないまでも、その内容に「呼応した」あるいは「影響を受けた」そういう「お言葉」が、出ないとも限らない。自民党はそれを恐れているのだと思う。
(平成24年3月11日東日本大震災1周年追悼式)
東日本大震災から1周年,ここに一同と共に,震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します。
1年前の今日,思いも掛けない巨大地震と津波に襲われ,ほぼ2万に及ぶ死者,行方不明者が生じました。その中には消防団員を始め,危険を顧みず,人々の救助や防災活動に従事して命を落とした多くの人々が含まれていることを忘れることができません。
さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより,危険な区域に住む人々は住み慣れた,そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。
この度の大震災に当たっては,国や地方公共団体の関係者や,多くのボランティアが被災地へ足を踏み入れ,被災者のために様々な支援活動を行ってきました。このような活動は厳しい避難生活の中で,避難者の心を和ませ,未来へ向かう気持ちを引き立ててきたことと思います。この機会に,被災者や被災地のために働いてきた人々,また,原発事故に対応するべく働いてきた人々の尽力を,深くねぎらいたく思います。
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天皇の「お言葉」の政治利用の例です。
《84年の昭和天皇「お言葉」 中曽根氏が決断》(朝日新聞/1990年5月22日)
5月21日午後、都内の事務所で記者団と懇談。〈1984年(昭和59年)に韓国の全斗煥大統領(当時)が来日した際に昭和天皇がお述べになった「今世紀の一時期に於いて(日韓)両国の間に不幸が存在したことは誠に遺憾」とする「お言葉」は政府部内で検討を重ねた上で最終的には、首相だった中曽根氏自身の決断で決まったものであることを明らかにした。〉という。
昭和天皇が過去の植民地支配などにどう言及されるのが適当か、ということで外務省や宮内庁などの間で様々な議論があり、このため首相官邸を中心に政府部内で、それまで諸外国に対して述べられた「お言葉」の先例を参考にしながら文案づくりが進められた。
中曽根首相「全大統領は政治生命をかけて日本にやってくる。大統領が(ソウルの)金浦空港に帰ったとき、韓国国民が喜ぶような環境づくりをすることが日韓親善促進の上で、キーポイントだ。ついては私に一任させてほしい」
首相官邸を中心にした政府部内が、政治的思惑で天皇のお言葉の文案を作成し、中曽根が決定した。ということですね。
思うに、政府が右傾化に暴走しても天皇が平和的な発言をすれば、多くの国民は訳も無く安心してしまいますので、自民党政権にとっては都合の良いガス抜きになるのではないのでしょうか。
天皇は、発言から何から徹底的に利用されている。と考えたほうがいい、と思います。
天皇の本当の意味での「お言葉」とは、こういうものでしょう。
毎日新聞の夕刊に掲載された昭和天皇の「富田氏メモ靖国部分の全文」です。
「私は、或る時に、A級が合祀されその上 松岡、白取までもが、
筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが 松平の子の今の宮司どう考えたのか 易々と 松平は 平和に強い考があったと思うのに 親の心子知らずと思っている
だから 私はあれ以来参拝していない それが私の心だ (原文のまま)」
残念ながら、このような「私の心だ」という天皇の「本心」は、何十年も経ってからでないと公開されないようです。
「安倍自民は天皇の本心に違背している。けしからん!」という考えを全く持たないのが、日本の天皇主義者です。彼らは、誰もが心地よいと感じる、耳ざわりのよい優しいお言葉にしか関心を示さないので、
たとえ天皇が反原発めいた発言をしたとしても、記憶しないと思います。ネトウヨどもは、伊藤先生がおっしゃるように、この「冨田メモ」ですら「真意ではない」、もしくは「捏造」だと考えているのでしょう。
私が本文で言う「天皇主義者」とは、ネトウヨではありません。「一般国民」です。ノンポリや、善意の保守主義者、共産党支持者、場合によっては一般の共産党員さえ含まれるのです。いるのです「天皇が好きな」そう言う人も。
>「安倍自民は天皇の本心に違背している。けしからん!」という考えを全く持たないのが、日本の天皇主義者です。
ということはないと、私は思います。何だか私まで「天皇主義者」の「擁護者」になってしまったような気がしてきました(笑)。要するに、天皇制と民主主義が「相容れない」ものであることが、所詮は理解できない。日本の有権者の「民度」は、その程度である、と申し上げたいわけです。
国民の多くが原発再稼働の安倍内閣を支持しているのに、天皇が山本氏の手紙に影響されて原発の廃止を「お言葉」として言い出せば、これも民主主義と相容れないものになります。良い事であっても、国民の多数意志と異なる事を天皇が言い出せば、やはり民主主義の否定になります。
君が代の歌唱を強制しない方がいいという「お言葉」は、歌唱等を強制することは無いとする、国旗、国歌に関する法律の国会答弁に沿ったものですから、内閣の公式見解をアホな地方の教育委員に再確認したのであり、その点では民主主義と天皇制の調整が出来ている事例だと思っています。
山本氏は天皇に手紙を渡すのではなく、国民の間で原発廃絶派を多数にするような運動を続けるべきでした。
日本の天皇主義者にとっては、天皇は「神」であると私は見ています。生身の天皇がどのような考え方を個人として持っていてもそれは関係なく、「神」だから生身の天皇の個人的な意見に従うといったかたちにはならず、日本の天皇主義者にとっての「神」としての天皇は、ドラえもんのポケットのようにいつでも自分たちが望むご神託を出してくれる存在なのです。
宗教団体で「神」を降ろせば、「神」の言葉を陳べる霊媒は必ずその教団にとって都合のいい「神」の言葉を口にします。
戦争が嫌いな日本の「一般国民」の天皇主義者は天皇お心は平和にあると言うでしょうし、戦争をやりたい極右のような天皇主義者は天皇のお心は韓国征伐にある、マスコミに出ているお言葉は、韓国人によって捏造されたものだと言うでしょう。遺族会が靖国神社に関する昭和天皇の意志を無視しているのも、同じ事だといえます。
生身の人間としての天皇の意志とは無関係に、宗教団体の霊媒が教団にとって都合のいい「神」の言葉を語るように、天皇主義者は一般国民も極右も同様に、自分たちが望むことが天皇の意志であるとします、私にはそれが日本の天皇制の本質のように思えてなりません。
伊藤浩士さん、
>国民の多くが原発再稼働の安倍内閣を支持しているのに、天皇が山本氏の手紙に影響されて原発の廃止を「お言葉」として言い出せば、これも民主主義と相容れないものになります。良い事であっても、国民の多数意志と異なる事を天皇が言い出せば、やはり民主主義の否定になります。
なるほど。国民の過半数が「原発反対」であっても、民主主義の手続きによって選ばれた内閣の決定であるから、天皇はそれを否定する「お言葉」を述べることは出来ないということですか。たしかにそうかも知れませんね。でもそれは「国民の多数意思」では決してないのですがね。何故なら、投票率そのものが50パーセントを切る、という「お国柄」なわけですから(笑)。けっきょく「民度」ということに落ち着いてしまいそうですね。
>君が代の歌唱を強制しない方がいいという「お言葉」は、歌唱等を強制することは無いとする、国旗、国歌に関する法律の国会答弁に沿ったものですから、内閣の公式見解をアホな地方の教育委員に再確認したのであり、その点では民主主義と天皇制の調整が出来ている事例だと思っています。
そう言われてみるとそのとおりですね。でも、現実がそうなっていないということに、天皇が異議を述べることも出来るわけですね。理論的には。しかしそれは「政治的発言」として一蹴されるでしょうけど。
>山本氏は天皇に手紙を渡すのではなく、国民の間で原発廃絶派を多数にするような運動を続けるべきでした。
それはそのとおりです。今回の問題の根源はまさにそれです。しかし「国民の間で原発廃絶派を多数にするような運動」は、彼がこれまで十二分に行なってきたことです。その「成果」が思うように出ないことへの「焦り」が、彼をして今回の行動を取らせたのだと思います。ですから、私は彼をそんなに責めることは出来ないなあと、そう思う面もあるわけです。これも結局、行き着くところは「民度」の問題というのが何とも情けないですなあ。
>生身の人間としての天皇の意志とは無関係に、宗教団体の霊媒が教団にとって都合のいい「神」の言葉を語るように、天皇主義者は一般国民も極右も同様に、自分たちが望むことが天皇の意志であるとします、私にはそれが日本の天皇制の本質のように思えてなりません。
それもそのとおりだとは思いますが「お言葉」を語る天皇が「生身の人間」であることに、山本太郎が「幻想」を抱いたとしても無理は無いと、私は思いますね。
ところで、山本太郎は「皇室行事参加禁止」だそうですが「国会開会の儀」の際は、共産党と一緒に議場の外で待つことになるのでしょうかね(笑)。
50%を占める棄権層を、民主党不支持と見做す詭弁を用いていたわけですが、棄権者を自分たちの側の人間と勝手に見做せば、選挙でどのような結果が出ようが相手を少数者と断定可能という話になります。しかし現実の社会では、棄権者は政治的な意志として存在しないものとして扱われます。
政治に意思表示をする機会を放棄して平気というのも、景気が良くなるまで紙幣を刷るという話に乗せられるのも、すべて「民度」なのでしょうが、その「民度」のために、何十年後に国土の全てが放射能で覆われて日本人が死に絶えたとしても、その程度の「民度」の人たちの選択の結末であれば仕方がないとしか言いようがないのではないかと、極端な話ですが、私にはそう思えるのです。
ところで東電が原発作業員の危険手当を10000円アップするというニュースがありました。中抜きにしても作業員に渡っているかどうかアンケートを行って防止するという話ですが、これは山本氏が原発の作業員被曝問題を、子どもの被曝と共に天皇に知って貰いたかったと言っていることによるものなのでしょうか。だとすれば東電も天皇主義者ということになります。
「皇室行事参加禁止」という措置は、園遊会や歌会始などに呼ばないということでしょうね、国会の開会式は国会の行事なので山本氏の参加は認められると思います。共産党のように筋を通して欠席という判断はできず、天皇主義者の山本氏は参加するでしょう。その場合には衛士が4人くらいで山本氏を取り囲むかたちになるでしょうが。
天皇をあがめる、親しみを以て見る、そして利用する。
いずれも、主権在民であることを放棄したいのだと思います。
何かの権威にすがれば、楽ですからね。
要するに、楽したい人々なのですね。(私だって、楽したい。)だから、天皇職の個人のことを考えないのだと思います。