http://mantan-web.jp/2013/08/30/20130830dog00m200021000c.html
イラク戦争の取材先でクラスター爆弾の不発弾を、それと知らずに「記念品」として持ち帰ろうとした毎日新聞所属のカメラマン五味宏基氏。空港の手荷物検査の際にそれが爆発し、数人が死傷した。本人は無事。その後、五味氏は現地の裁判で有罪となり服役。恩赦で釈放されるが、会社からは懲戒解雇を受ける。近年は、奥さんの職場のあるエジプトに家族で移住していたが、先日のデモ弾圧事件後、日本に戻っているらしい。事件当時の若々しい風貌からは考えられないほど老けてしまっている。10年ではない、ちょうどその倍の20年ほど彼は歳を取ってしまったように見えた(10歳上の私と同年代に見えるという意味)。
番組では、彼のカメラになる作品が多く紹介された。どれも印象的な作品で、子供の写真が多い。カメラマンとしての腕前は、申し分のないように私には思えた。事件さえなければ順風満帆、名報道カメラマンとして活躍している人だろうな、と思った。
確かに、弁解のしようのない過失致死。万一機内で爆発していた場合の事の重大さを考慮すれば、その責任はあまりに大きいだろう。それは分かる。
しかし何故?彼にはクラスター爆弾の知識が無かったのだろうか?社内で「教育」は無かったのか?私にはそちらのほうがむしろ気にかかる。「親爆弾・小爆弾・孫爆弾」からなり、最後の孫爆弾は、その形状がちょうど缶入りジュースのような形・塗装になっているというクラスター爆弾。孫爆弾総数のうち数パーセントは、わざと「不発」になるように製造されている。興味本位で、あるいはジュースだと思って、特に小さな子供が拾うのを狙った形状だという。そして、それは拾ったとたんに爆発する。まるで「悪魔が考えだした」としか思えないような兵器である。
このような非人道的な爆弾そのものに対する批判は、番組の最後にキャスターの金平茂紀氏によって、ほんの少しだけ語られた。しかし今回は、その問題にはそれ以上の立ち入った言及はなく、非人道的な爆弾を作ったアメリカという国への批判も聞かれなかった。今あえてこのカメラマンの「その後」を取材し、特集として放映するTBS(毎日新聞社)の目的は何なのだろう?会社としての責任?けじめ?それもあるのだろう。しかしわざわざ、家族ぐるみ付き合いのあるという同期の記者に取材させるその意味は?ちょっと私には測りかねた。願わくば、これをきっかけに番組では、クラスター爆弾そのものの特集を、やってもらいたいものだと思った。もちろん批判的な視点から。
滑走路破爆弾とかと勘違いしてるでしょ。