2013年06月22日

横井庄一氏と小野田寛郎氏

懐かしいお二人である。詳しくは以下のウィキを参照願いたい。

横井庄一氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E4%BA%95%E5%BA%84%E4%B8%80
小野田寛郎氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%87%8E%E7%94%B0%E5%AF%9B%E9%83%8E

横井庄一氏は、仕立屋の職人だった人で、階級は陸軍軍曹。終戦を知らずグアム島の密林でサバイバル生活をしていた。横井氏の凄いところは、そのサバイバル生活の巧みさであった。川でエビやウナギを獲り、野草、木の実などで生活していた。椰子の実で椀を作り、竹でかごを編んだりもしていた。なんと、草の繊維を使って織物を作り、背広まで仕立てていた。帰国後、講演や著書でサバイバルの必要とノウハウを訴えた。また、自宅を「横井庄一記念館」に作り変え、サバイバル術を一般公開した。横井氏亡き後は、奥様の美保子さんが館長をしている。

一方、フィリピンのルバング島で「発見」された小野田寛郎氏は、横井氏とは違い「エリート」だった。陸軍中野学校出の少尉である。米軍30名以上を殺したらしい。発見されたときは、ピカピカに磨かれた三八式歩兵銃を持っていた。食料は自給自足のほか、地元民からの「窃盗」で賄っていた。トランジスターラジオも(盗んで)持っていた。捜索隊の置いていった新聞などを見て、日本の「今日」の姿も知っていた。だから、日本が戦争に負けたことも、実は知っていた。

横井氏は「恥ずかしながら」と国民の前で語った。小野田氏は、実にかっこよく「天皇陛下バンザイ」を叫び、駆けつけた元上官の前で「武装解除」を行なった。しかし、その後の身の振り方こそが、小野田氏のエリート性を感じさせる。

約二年前に発見された横井庄一氏の、マスコミでの過剰な扱いを、小野田氏はじっくり観察したものと思われる。横井氏が、興味本意にワイドショーに引っぱり出され、週刊誌や新聞で書き立てられ騒がれ、新婚家庭を撮され、プライバシーを奪われる様を。仕舞いには周りにおだてられて、参議院選挙にまで立候補をする横井氏、マスコミ・大衆に翻弄されるそんな横井氏の姿を見て、小野田氏は日本が怖くなったのだろう、さっさとブラジルへ逃げてしまった。彼の地で大牧場主となり、余生を豊かに送っている。何となく大橋巨泉氏を思い浮かべたくなる人だ。サバイバルでは横井氏に負けているが、その後の「身の処し方」は、小野田さんのほうが一枚上手のような気がする。

<参考>
横井庄一記念館
http://b-spot.seesaa.net/article/103020607.html

 
posted by takashi at 13:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | その他雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
横井庄一氏は、その人生の前半は大日本帝国に、後半は日本のマスコミに台無しにされ、お気の毒としか言いようがありません。

一方の小野田寛郎氏は、陸軍中野学校出ということであれば、ある意味体制側の人間ではないでしょうか。その証拠に、「従軍慰安婦は商行為として売春を行っていた」という主張をし、蒙昧な保守陣営を喜ばせています。彼の主張が誤りであるのは、戦後の研究により明らかですが、彼が故意に嘘を吐いているのか、あるいは限られた個人的経験を無批判に一般化しているのか、判然としません。いずれにしても、私は彼に対して否定的な印象を有しています。
Posted by 金李朴 at 2013年06月22日 23:11
金李朴さん、お久しぶりです。

>彼が故意に嘘を吐いているのか、あるいは限られた個人的経験を無批判に一般化しているのか、判然としません。いずれにしても、私は彼に対して否定的な印象を有しています。

そうですね。後段のところで、小野田少尉の「エリート性」というふうに「」を付け忘れていましたが、もちろん私も「皮肉」で申し上げているわけです。小野田氏の右翼ぶりには反吐が出ます。あの、こずるい「見の処し方」もね。横井庄一さんのほうが、私にとっては人間的に数段好感が持てます。
Posted by たかし at 2013年06月24日 13:32
2001年に、英国で小野田氏のドキュメンタリー番組を偶然視聴しました。戦後も日本は大東亜戦争を継続中だと信じていたこと、フィリピンの農民と時々銃撃戦を行ったこと、そして右翼団体の幹部として、しばしば帰国していることなどを描いた作品です。つまり、おかしな思想に取り付かれて、主に民衆を殺害した挙句、現在も反省していない――これは彼だけか?と考えさせられる内容でした。
Posted by アジアのバカ大将 at 2014年02月02日 15:13
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