池袋芸術劇場の前の広場には、ベンチのたぐいが一切ない。大きな円形のパイプがあって、若いカップルなどはそこのもたれかかって談笑したりしている。我々が子供の頃から慣れ親しんできた「広場」や「公園」には、必ず「ベンチ」というものがあった。
ある頃から、都会ではその公園のベンチを「路上生活者」が占領するようになっていった。高度成長期が終わり、社会が停滞し始めた頃だ。その後、小泉・竹中により、日本の雇用政策・福祉政策は、ズタズタにされていった。
民主党政権を経て、昨年誕生した自民党安倍政権に至り、もはや日本の状況は最悪となった。持てる者には最大限の有利な税制、持たざる者からはこれでもかと増税の嵐。福祉は戦後最悪の切り捨てが進み、最後のセーフティネットである生活保護が大幅に切り下げられることになった。
あらゆる政策が、弱者を「狙い撃ち」にするものになっていった。ドイツなどのヨーロッパ諸国が、決して選ばなかった道である。低い最高税率、高い課税最低限、世界に類を見ない証券優遇税制。大企業に対する法人税減税や課税優遇措置。すべての富が「持たざる者」から「持てる者」へ流れる仕組みだ。課税本来の「富の再配分」から逸脱した、憲法違反の政策。拍車をかけるのが、TPPと、それに伴う労働法制の緩和。そして、その固定化を狙ったのが、憲法の大改悪だ。
この先、福祉の網からこぼれ落ちた失業者が、大量に「自殺」するだろう。あるいは、これまで以上に路上に放り出されるだろう。また、多くの母子が「餓死」するだろう。
さて、今日本中の大都会の公園のベンチは、このようなことになっている。
真ん中に「仕切り」がある。本来3人は楽に座れるスペースが二つに分割されている。言わずと知れた「ホームレスへの嫌がらせ」である。彼らが「横」になれないように、このような「嫌がらせ」をしているのだ。昼休みにちょっと体を休めたいと思うサラリーマンにとっても、忌々しいシロモノであろう。このようなベンチが登場し始めたのはいつ頃であろうか?私が確信を持って言えるのは、青島幸男東京都政の頃だということ。あの「革新都政」が、この「元祖」なのである。青島都政は、徹底した「ホームレスいじめ」を行なった。根本的な「貧困」の解決はまったく行なわず、地下道のあらゆるところに、このような「オブジェ」を作った。
外国人旅行者は、これらのオブジェを見て、一体何だと思うだろう?まさかホームレスへの嫌がらせのために存在するとは、思っても見ないのではないだろうか?その後の状況も推して知るべしである。こういったオブジェは、どんどん増えていった。そして遂に、このようなオブジェが作られるに至った。
これは一体何なのだ?おぞましい「オブジェ」ではないか?人が多く行き交うこんな場所に、何故こんな「地獄」のようなオブジェを作らなければならないのだ?私は、ノルマンディー上陸のオマハ海岸に作られた、揚陸艇上陸妨害の「構築物」を連想した。「プライベートライアン」のトップシーンに出てくるアレである。世界広しと言えども、こんなおぞましいものを作って得意になっている国が、我が国以外にあるのだろうか?
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- ジャーナリストと「お座敷」
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- 「!」や「?」について
始めまして。
一年半ほど前からこのブログを拝見させて頂いてます。
私も本多勝一のファンですが、全集などは持っていなくて、
もっぱら朝日文庫版の物ばかり読んでいます。
私は母親が南米某国出身の所謂ハーフなのですが、
「マゼランが来た」を読んだ時に複雑な気持ちにもなりました。
今は社会的マイノリティとそれに対する差別について、また表現・思想の規制について自分なりに考えています。
私はネット右翼や国粋主義などに嫌悪感を抱いています。
今回のホームレス排除オブジェや、
橋本発言など弱者を圧倒的立場から攻撃する主義主張にも非常に反感を抱いています。
ここのブログのコメント常連の方々ほど
上手く喋られないかも知れませんが、
これからもコメントをさせて頂きたいと思います。
日本人を日本で暮らす人々を腑抜けにしたあげく今度は殺そうと言うのでしょうか?
今回の橋下市長の件では少しだけてすが公明党に期待しました。さすがに創価婦人部は黙ってないだろうと…
結果はやっぱり…言い訳も予想通り!!
そんな中でも庶民は営みに勤しんでいくしかないでしょう。世の中捨てたもんじゃないとね。。。
※革新都政は青島さんじゃなく青島さんの前の美濃部さんじゃぁなかったでしょうか?
しかし、橋下徹という人物が現れました。それについて行ってしまう人の多いこと! 理念よりも「劇場型」に、引きずられてしまうのです。次の選挙も「劇場型」の対抗馬が現れないと、橋下さんが市長になってしまう可能性があります。
母子餓死事件が起きたのは、直接橋下市制に関係ないのかも知れませんが、時代として象徴的です。駆け込み寺的な者を、府も市も作らないのでしょうか。
新自由主義に侵され尽くして落ちるところまで落ちないと分からないのでしょうね。それが、日本の民意とか言うヤツなのでしょうか。
「差別用語」をハンドルにお使いの方は「たかしズム」でも始めてではないかと思います(笑)。
>「マゼランが来た」
アメリカ大陸の「真の歴史」ですね。殺す側と殺される側を、明確にさせ「殺される側」の視点で書かれた名著だと思います。これからもご投稿期待します。
>革新都政は青島さんじゃなく青島さんの前の美濃部さんじゃぁなかったでしょうか?
結果的におっしゃるとおりになってしまいました。でも、推したのは、共産党も含めた「革新陣営」だったのです。東京都民はその後、振り子が触れるように右に寄って、そのまま動かなくなったような気がします。美濃部都政で手にした権利や福祉を、今の都民は次々と投げ出させられています。次回選挙での宇都宮健児さんの当選が望まれます。
>変なオブジェは、東京ほどに積極的には作っていません。
そうですか。関西の実情をあまり知らないので申し訳ありませんでした。東京よりもまだ大阪のほうが「人情味」があるということの証拠かもしれません。だとしたら謝らないといけませんね。
>母子餓死事件
この事件について橋下は、いまのところツィッターでは沈黙しています。相変わらず慰安婦発言の「言い訳」ばかりをつぶやいています。人間として感ずることが、この男には全く無いようです。
>駆け込み寺
欧米や、アジアでもキリスト教国や仏教国にはあるんですよね。実質それが最後のセーフティネットになっていたりする。ところが日本にはそれが欠けている。足元の薄氷の下は底なしの地獄です。
失礼しました。先般「混血児」を差別用語と申し上げましたが、間違いでした。差別用語としては、もう一ランク上の「あいのこ」というのが、いわゆる「放送コード」に引っかかる言葉でした。NHKでも民放でも、未だに厳に慎まれているようです。1950年代の映画を見ると、この言葉には必ず「ピー」が入ります。その昔、川崎敬三という司会者が、この「あいのこ」を、生放送で連発して、アフタヌーンショーという番組を降ろされたことがあります。尤も、直接の理由は「ヤラセ報道」だったと記憶しておりますが。
ただし「混血児」も、今や「准差別語」となりつつあるようです。それに代わって、いわゆる「混血児」を表す単語は、今や「ハーフ」「クォーター」といった表現が普通になって来ました。これはいいことだと思いますね。つまり「カタカナ語」としては、私は良い使われ方ではないかと思うわけです。ハーフというのは、日本人にとってむしろ「憧れ」「ステータス」すら感じられる言葉であるようです。ただし、それが「白人系」の場合だけ、というところに、まだ日本の「病根」が残っていますが。ネトウヨなどは、韓流アイドルをボロクソに言いながら、白人とハーフの可愛い子ちゃんタレントに夢中だったりするわけです。
「カタカナ語」が、良い「効果」を挙げる例として、他には「ハンディキャプト(障害者)」などがあります。尤も外来語嫌いの本多勝一氏には怒られそうな気もしますが。取りとめもないことを申し上げました。なお「差別語」に関する以下のエントリーも合わせてお読みくだされば幸いです。
<差別語について>
http://takashichan.seesaa.net/article/149675560.html
<差別語についての再考察>
http://takashichan.seesaa.net/article/359326349.html
公園の中には美術館が開館した時に立てたオブジェ、台座があって上に彫刻が置かれている形のものでしたが、10基ほどありました。ホームレスの人たちはそのオブジェを柱にして小屋掛けをするのです、お客さんにオブジェはと言われても、小屋の柱にされてますから見られませんという話になりました。東京のオブジェとは状況が反対の事が起きていました。
清掃員が使う屋外コンセントから電気が盗まれる、外に置いてあった絵画用の木箱が持ち去られて焚火にされてしまう、庭園の池で行水される、夜は正面入り口の大扉に何人もが凭れ掛かって寝るので、そのうちに体重で大扉が歪んでしまい自動開閉の機能が壊れてしまう、といったことがあり、冬季には必ず何人か凍死者が出ました。
しかし誰もその原因を考えようはせず、野宿の辛さを思おうともせず、警備員を増やして美術館の敷地内から追い払う事しかしなかったのです。
ところが万博が開かれるとなると、それまで放置していた市は、欧米人の観光客に見られるのが恥ずかしいとして、強制的に追い出して半年を期限とする収容施設に入れました。建て前は半年の間に職業訓練をするとなっていましたが何も行われず、万博が終わると、半年の期限が終了したからとの理由で収容施設を閉鎖して再び寒空に追い出してしまいました。
全く酷い話だと思いますが、これが日本の行政の現実です。
このような持たざる者を人間扱いしない行政の最大の味方はネトウヨではないかと私には思えます。
私は野宿者や餓死者は、多様な巡り会わせが悪くてそうなったのであり、国籍は関係ないと思うのですが、ネトウヨの議論では、野宿者や餓死者は絶対に日本人であり、生活保護の不正受給者はどんな場合でも在日であり、マスコミに公表される名は通名であるとされています。
そして在日は特権があるので絶対に野宿者にならず餓死もしない、そういう所に追い込まれるのは全部日本人だと論じます。そうなると、国籍に関係なく行政が持たざる者を切り捨てているという現実が、ネトウヨによって、特権を持つ在日と迫害される日本人という構図にされてしまい、行政が行なっている持たざる者の切り捨ては免罪とされます。
餓死者が出ても、野宿者の中から凍死者が出ても、行政ではなくて、在日が悪いという話になってしまうわけで、持たざる者切り捨ての行政にとってはネトウヨほど有り難い味方はいないということになります。
福祉の網から零れ落ちた人が大勢餓死や自殺をしても、その人たちは全部に日本人で、在日は福祉の恩恵で楽な暮らしをしている、その在日優遇は民主党が与えているといった事にされてしまい、自民党政権は批判されないといった状況になっていくような気がしてなりません。
先の私の書き込みは、橋下批判です。大阪を非難するな、という趣旨じゃないですよ。たかしさんも、橋下批判をしても大阪批判は、これまでされてなかったと思います。(ト、読み返す。)
たかひろさん
お初にお目にかかる…のでしょうか。お見知りおきを。
これを改善するには…悪平等にするとでもいうのでしょうか、ネトウヨどもは。大量餓死や自殺を救え、と言う議論にならないのでしょうねえ。
ところで、ネトウヨはどうやって生きているのかと気になるモノです。…そうそう、このwebにはいろいろ実例が現れますね。富の偏在、ですか。
日本最大のドヤ街のある大阪では、雨を凌げそうな場所は
ことごとくフェンスで囲い、
ホームレスが入れないようにしてます。
なぜこんな事をして執拗にホームレスを目の敵にするか?
ホームレス置かれた状況や認識とはどういったものなんでしょうかね?
以前、TVでたけしが出ていた番組(失念)でホームレスの生活を放送。
なんとも桃源郷のような自由な生活でたけしのコメントが
良い生活だなあ、俺もこんな生活したいよ
とホームレスを桃源郷の住人の様に描き
ネトウヨ番組として名高い“たかじんのそこまで言って委員会”では
一体何時の時代の話なのか?
政界などに発言力、影響力のある人の認識とは
この程度なのか驚愕した覚えがあります。
ホームレスは好きであの場に居る世捨て人
ほっとけば良いんだ好きでやってんだから
三宅久之の発言なんですが、同意する連中の多かった事。
それに当時リーマンショックで生活保護を貰う人たちを
あいつらはのうのうと働きもせず仕事も探さず
月18万貰ってる
探せば仕事なんて幾らでも有るんだから
うちのうどん屋なんか募集しても人なんか来ないよ
まぁコレは勝谷なんですが、
あんなおかしな経営者の店に好き好んで行くのは
せいぜいネトウヨ位なモンです
あ、ネトウヨは働かないかw
政治屋や官僚、それを取り巻く言論人などの
“正論で御在”と胸を張ってる連中にホームレスは
好きでやってる連中だ
としか映っていない様子。
好きでやってる連中が、税金も払わず公共施設で寝起きしてやがる
見栄えが悪い子供の教育に悪い
何より朝から晩まで働いてる俺の胸糞悪い(by上岡龍太郎)
この感覚でしょう
自分達の政策で貧困者が増えてるのに
こんなオブジェを嬉々として作ってるなんてその表れでしょう
生活保護を申請に来る人を追い返す
この行動を支えてる考えもコレでしょう。
たかし様、わざわざお調べ頂きありがとうございます。
混血と言う言葉は、私自身は無難な言葉だと思っていましたので、
今回の事ではホッとしつつ、これからの「言葉」の動向が気になりました。
やはり最近は「混血」と硬めの言い方はされないものですね。
「ハーフ」と言うのも何だか気取っている様で、自分から何か言う時はあまり使わないのですが、
これからは考え直しても良いと思いました。
言葉のコードについてですが、
私は例えば「釣りキチ」みたいな素朴な表現はあまりうるさく言わず、
「チョン」とか「土人」など明らかに侮蔑・差別的に使われる表現を
強く締め出せれば良いとは思うのですが、
ネット上では曖昧な部分も有って、中々難しいです。
本多勝一先生の日本語の理論もとても良い物ですが、
厳密な報道や思想の立場に居るのでない限りは、
外来語などを便利に扱っても良いと思います。
特に私は外来語を直接使う立場なので(笑
もし、これから何か必要に迫られる事があったら
ハンドルネームの「混血児」の部分を変えるかも知れません。
その時はお知らせしたいと思います。
貴重な体験談を、ありがとうございます。
半半さん、
たけし、三宅、勝谷・・・おぞましい連中ですね。上岡龍太郎まで、そんなセリフを吐いていたんですか、知りませんでした。
上岡師匠の台詞は浮浪者や芸人などを馬鹿にする連中を批判しての台詞です。
上岡龍太郎
はたから見てたら羨ましく見えるんやろうね。
自由な時間に好き勝手やってエエ思いしてるように見える、
そやから変に嫉妬する連中が出てくる。つまり、
見栄えが悪い子供の教育に悪い
何より朝から晩まで働いてる俺の胸糞悪い。
僕ら芸人は良いですよ、末路哀れは覚悟の上、
そんなもん畳の上で死ねん、親の死に目にも遭えんと思ってますよ。
そやけど人生で身動きとれん様になった人に救いの手を差伸べんと、
変に迫害する連中が居るのには呆れる、それも政治家。
政治家とか言う連中は何の為に存在するのか分ってない奴が多すぎる。
政治家で強いモンの味方する奴なんか最低ですよ、
強い奴はほっといても生きていけるんやから。
そうじゃなく、弱いモンの味方せえよ。
そやなかったらお前らの存在意義は何なんや?ちゅう話でね。
こう言う話で、決してパンチ君(※)がホームレスを批判してた、
なんて言う話ではありません。
私の説明不足で申し訳ない。
大阪から上岡龍太郎が消えた事がつくづく惜しいです。
彼が活躍していれば、橋下などの現れる土壌は出来上がらなかった筈です。
長々と駄文でスイマセン。
※コアな上岡ファンは漫画トリオの時のパンチ君と愛情とくすぐりを込めて呼びますw
そうでしたか。「引用」は、なるべく正確に、誤解なきようお願いします。
ぼくが書いた記事で、こちらで半々さんがご紹介されていた上岡龍太郎の言葉を取り上げたのですが、読者の方から出典はどこでしょうかという質問がきました。もしよろしければご教示いただけるとありがたいです。
http://ameblo.jp/jikokaiketu/entry-11548002302.html#c12564168958