2012年12月15日

「事実上の弾道ミサイル」について

何故日本の政府・マスコミは、こんなにも騒ぐのか?「世論誘導」である。テポドン1号2号の時も、今回も何故、これほどまでに過剰な報道を繰り返すのか?日本の支配層は何を狙っているのか?言わずと知れたことである。危機を煽り、軍備を増やし、徴兵制を復活し、憲法を改正して「集団的自衛権」に門戸を開くためである。そして、兵器産業、原子力産業を、国民の反対を封じて継承し、資本家とアメリカを「喜ばせる」ためである。

実を言うと、この「事実上の弾道ミサイル」なるものは、日本にとっては何の脅威でもないのだ。

何故なら、北朝鮮が日本を攻撃する場合には、テポドンなど使わないからだ。北朝鮮が日本の主要都市を破壊するときに使うのは、中距離弾道ミサイルの「ムスダン」と呼ばれるタイプなのだ。このミサイルは、もう既に数十基が実用配備されており、核弾頭も装備されていると言われる。テポドンと違い、液体燃料の補給作業は必要ないし、人工衛星からの位置確認も不可能である。つまり、ボタンひとつで地下のサイロから即座に発射でき、10分で日本の目標に達するのだ。地下配備あるいは、トラックに積めるので山間地のトンネルに隠されているとも見られている。私が以前から申し上げている「北朝鮮は、日本の攻撃に核弾頭は必要としない。五十数基ある原発のどれでもいいから通常ミサイルで狙えば日本は滅びる」と言うのは、実はこのミサイルに関してのことなのである。

さて、民主・自民から共産党まで一致して何故、今回の「事実上の弾道ミサイル」に反対するか、その唯一の根拠は、北朝鮮に対し、核実験と弾道ミサイルの開発・発射を禁じた「安保理決議1718」※注)である。安保常任理事国にはもちろんこんな禁止事項はないし「事実上の弾道ミサイル」の開発については、我が国にも禁止条項はない。これまで日本は一体何千基の「事実上の弾道ミサイル」を、種子島から打ち上げてきたことだろう。おまけに、日本には大量のプルトニウムが現実に存在する。核弾頭さえも数ヶ月で作れるというのに。確かに「不公平」といえば不公平な話ではある。

※注)ちなみに国連決議への「違反」は、我が国の得意技である。国連人権委員会の「是正勧告」やILOの「非難決議」にバックレて「何もしない」のは日本の「お家芸」とも言える。直近の例では「高校授業料の無料化」における朝鮮学校の除外に関する、国連人権委員会の「是正勧告」が挙げられる。

断っておくが、私は北朝鮮による核開発や、ミサイル実験を「容認」する立場ではない。残念ながら北朝鮮は「まともな国」では決してない。したがって、かの国のような支配体制が、核兵器を持つことの危険性は計り知れないからだ。ただし、私が今回批判しているのは、日本のマスコミの過剰報道と、世論誘導についてだ。

では何故、日本のマスコミがここまで「事実上の弾道ミサイル」に大騒ぎするのか?一体「事実上の弾道ミサイル」は、誰にとっての「脅威」なのか、と言えば、それはアメリカなのである。早い話が日本は「アメリカのために」大騒ぎをしているということになる。尤も、当のアメリカにとって見れば実は、液体燃料を使用して発射に「手間」のかかるテポドンなど、日本人が考えているほどの「脅威」ですらない。射程距離にしても、ロスアンゼルスやニューヨークではなく、せいぜいアラスカかハワイがいいところであるし、精度もアメリカの巡航ミサイルに比べれば子供だましに違いない。なのに、これがマスコミの世論操作によって「日本にとっての脅威」に転じるのは、誠に簡単なことなのだ。

例えば北朝鮮がアメリカ本土に対して「大陸間弾道ミサイル」を発射したとしよう。それを日本のイージスが撃ち落とすことは、未だ許されてはいない「集団的自衛権」行使に属する行為である。さらにそう「解釈」するのは北朝鮮であるから、日本は報復を受けても文句は言えないということになりかねない。

はっきり言おう。日本政府やマスコミが北朝鮮の「事実上の弾道ミサイル」に、これほど大騒ぎをするのは、憲法を改正して、アメリカとの間に「集団的自衛権」行使を含む「安保条約の改定」を行ないたいからなのだ。

posted by takashi at 22:22 | Comment(4) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 事実上の弾道ミサイル、現実の衛星運搬ロケットの発射に関して、極右は本当に嬉しそうですね。

 在特会の事実上の桜井誠、現実の高田誠は、日本にミサイルを撃ちこんでタダで済むと思っているのか、と朝鮮総連の前で喚いていました。どこにもミサイルなんて撃ち込まれていないのに、極右の妄想では南の空で地球周回軌道に入っても、日本に撃ち込まれたとなってしまうようです。

 高田の子分は、今ここで朝鮮人をぶっ殺しても正当防衛だ、何をやっても我々に正義がある、と言っていました。

 この騒ぎを機会に、天下御免で朝鮮人を攻撃することができるかと思うと、嬉しさが抑えきれないという感じでした。

 拉致事件のときもそうでした。拉致に関与していると言えば、日本に住むあらゆる朝鮮人の人権や立場を否定して差別と排斥の対象としても、その行為は正義になるといった感じで、なんとも嬉しそうでした。

 日本にミサイルを撃ち込んできたと言えば、自分たちが在日朝鮮人に対してどんな嫌がらせや差別をしても、世間は国防意識に基づく正しい行為だと認定してくれる、と考えているのでしょうし、現実に日本社会には、北朝鮮政府と在日朝鮮人を区別することが出来ず、身近に居る在日朝鮮人に、拉致被害者を返せとか、ミサイルを撃ち込みやがって、と言えばいいといった感覚の人たちが大勢います。

 そういう感覚の人たちに守られる形で、極右がこんなことがあると喜び勇んで、在日朝鮮人への差別や排斥に走るのです。

 表向きは極右は、国防とか、拉致被害者家族の思いとかいった建前を言っていますが、本音はこれわ口実にして在日朝鮮人を差別、攻撃できることが嬉しくて仕方がないという本音が、なんともよく分かる顔を奴らはしているような気がします。
Posted by たかひろ at 2012年12月15日 23:18
たかひろさん、こんばんは。

「在特会」のようなネトウヨは論外ですが「木を見て森を見ることの出来ない」一般の日本国民にも、私はもうウンザリです。マスコミや政府が、アメリカの世界戦略に踊らされていることが分からないのですから。日本の「B層」は、未だ「健在」です。明日の選挙もお先真っ暗です・・・。
Posted by たかし at 2012年12月16日 00:15
「事実上の弾道ミサイル」か、アホな名称ですな。
WW2でナチスドイツがイギリス本土を攻撃したのはV2【ロケット】ですがね。
ちなみに、V2ロケットの「V」はドイツ語で報復という意味だそうです。
仮に「事実上の弾道ミサイル」とやらを日本に撃ち込むのはアメリカでも持ってないトンデモナイ技術が必要ですがね。物理則から考えれば判りそうなものですよ。
Posted by あるふぁ at 2012年12月22日 11:21
弾道弾の開発をおおっぴらに続けている国が国連決議に反して打ち上げるロケットとH2Aを一緒にするとはねぇ。

ネットサヨクなんてこんなものかな(笑)
今年のブサヨ大賞はキミだよ
おめでとうございます!
Posted by ヨドガワ at 2013年01月13日 22:35
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