さて、まず最初に「植民地」という言葉の定義をはっきりさせておこうと思う。
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<大辞林>しょくみん‐ち【植民地】 ある国からの移住者によって経済的に開発され、その国の新領土となって本国に従属する地域。武力によって獲得された領土についてもいう。
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植民すなわち人を移住させる先、というのがこのコトバの文字的な意味である。つまり、朝鮮半島に日本人を「植民」した、という意味で戦争中の朝鮮は日本の「植民地」であった。これは紛れも無い「事実」である。ところで、ネトウヨが唱える「念仏」の中に、次のようなものがある。皆さんも聞いたことがあるのではないだろうか?
「欧米は植民地人民を搾取だけし、インフラ整備や教育もしなかった。それに対し、日本は、インフラ整備や、教育もおこなった。」
これは本当だろうか?ということを考えてみたい。
<そもそも植民地のインフラを整備したのは日本だけか?>
中南米の諸都市には、ヨーロッパ風の建築や石畳、広場が至るところにある。これらは、誰が作ったか?「大阪城は誰が建てたの?答え、大工さん」という小学生のギャグをそのまま使えば、中南米の「原住民」ということになる。しかし、建築の指揮・監督を行なったのは、当時のスペイン人、ポルトガル人だったはずだ。すなわち要するに、16世紀以来、スペイン・ポルトガル人がこれらの「インフラを整備」したのである。
<そもそも植民地国民の教育を行なったのは日本だけか?>
スペイン・ポルトガル人は植民地に必ず教会を建てた。そしてそこでは、布教とともに教育が行われた。彼らはそこで、子供たちに「コトバ」を教えたのである。そして、ヨーロッパ風の生活様式や道徳を吹き込んでいった。その証拠に、メキシコ人は、現代でも流暢なスペイン語を話すし、ブラジル人は、流暢なポルトガル語を話す。そもそもこれらの国の「公用語」となっているではないか。同様にして、アフリカや一部東南アジア人はフランス語を話せるし「公用語」になっているところもある。
以上二つの例から、ネトウヨの言う「欧米は植民地人民を搾取だけし、インフラ整備や教育もしなかった。それに対し、日本は、インフラ整備や、教育もおこなった。」が、嘘であることが導き出される。
<そもそも植民地のインフラ整備は「誰のためのもの」だったか?>
その答えは<大辞林>の「植民地」の定義を見て欲しい。答えは「植民=移住者」のためである。植民地におけるインフラの整備は、まず第一に本国から「植民」された自国民のためである。ただし、出来上がったものが「意に反して」「副次的」に、植民地人民の役に立つということも、ありうる。また時には、積極的に「懐柔策」としてこれを行なうことも、もちろんあったろう。
このようにして宗主国は、インフラを整備し、教育を行なっているわけだが、その目的は何であるか?
それは「経済的に開発され」「本国に従属」させるため(<大辞林>)である。そもそも本国には無い農産物、鉱物、そして何よりも労働力を「収奪」するための「植民」であり「植民地」である。植民地人民を農場や鉱山で働かせるためには、言葉による「意思疎通」が必要だからだ。ましてや近現代にのような「工場労働」では尚更である。
さて、日本の「朝鮮支配」であるが、上記の16世紀ヨーロッパに人による植民地支配と基本的に何ら変わるところはない。インフラ整備を行なったのも、教育を行ったのも、外見はどうあれ、第一義的には「自国(日本)のため」である。一部仕方なく「懐柔政策」として行なったものもあるであろうが、である。それらのインフラが、戦後も生き残って、独立朝鮮の人々の「役に立った」としても、それは単なる「結果論」でしか無い。それを言うなら、鉄道など、あの広いインドに、日本以上のものをイギリスは敷設しているし、それは現在でもインド国民の「資産」として立派に運営されている。結論。植民地人民は、宗主国の「インフラの整備」に関して、何ら「感謝」をする必要は無し。
また、ネトウヨの中には「日本では朝鮮人に高等教育まで受けさせて、その中には、国会議員や軍人にまでなった者までいる」などと「得意げ」に言うものがいる。
当たり前である。工場労働をさせるにしても「高等教育」があるに越したことはない。「職制」として、日本人の「肩代わり」をさせることができるから。国会議員にしたというのは、最も狡猾な「懐柔政策」であるし、軍人に至っては、日本人の代わりに死んでくれるのだから、これほどありがたいことはない。当時、日本は常に戦争をしていたのである。そして工業国だったのである。国民の数が足りなかったのである。そのためには、朝鮮人に高等教育が必要だったのである。敵艦に突っ込むやめの「零戦」の操縦法も教えなくてはならなかったのである。これらは全て「日本のため」だったのである。
イギリスの国会議員や軍人になったインド人がいます。
ネトウヨの無知無恥のあらわれです。