2012年08月15日

NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」

NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」
2012年8月15日(水)  19時30分〜20時45分  の放送内容


http://www.nhk.or.jp/special/

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0815/index.html

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敗戦から67年を迎える太平洋戦争。その犠牲者が急激に増加したのは、戦争末期だった。勝敗はとっくに決していたにもかかわらず、なぜもっと早く戦争を終えることができなかったのか。当時の日本の国家指導者の行動や判断には、多くの謎や不可解な点が残されている。今回NHKは研究者の共同調査で、戦争末期の日本の終戦工作を伝える大量の未公開資料を、英国の公文書館などから発見した。それらによると、日本はソ連の対日参戦を早い時期から察知しながらソ連に接近していたこと。また、強硬に戦争継続を訴えていた軍が、内心では米軍との本土決戦能力を不十分と認識し、戦争の早期終結の道を探ろうとしていたことがわかってきた。1日でも早く戦いを終える素地は充分に出そろっていながら、そのチャンスは活かされていなかったのである。番組では、戦後に収録されながら内容が公開されてこなかった当事者らの肉声証言なども検証し、重要な情報が誰から誰に伝えられ、誰には伝えられなかったのかを徹底分析。国家存亡の危機を前にしながらも、自己の権限の中に逃避し、決定責任を回避しあっていた指導者の実態を浮かび上がらせる。国家的な岐路における重要な決定をめぐる課題について、識者討論なども交えて考えいく。
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今年の終戦の日に放送されたNHKスペシャルだが、私はこれを見ていて腹が立ってきた。あの大戦中、これほど「愚鈍な連中」に、我々日本国民は、命を預けてきたのか、と。

馬鹿な天皇に、馬鹿な軍人・大臣。私は思った。これじゃまるで「会社」だな、と。普段「社長批判」など、勇ましいことを言ってる奴に限って「会議」では「口を閉ざす」場面が、会社などではよくある。そんなだから「馬鹿社長」はいつも「裸の王様」だ。周りの連中は、社長がどれほど馬鹿であっても、誰も、自らは「猫の首に鈴を付けたくない」のだ。こういう場合、たいていの日本人は、自分の意見は「言えない」のだ。ミッドウェーの時もそうだった。神風特攻隊のときもそうだった。すべての「負け戦」が、そうやってやられていった。そうやって事態はどんどんと悪化していった。終戦時の御前会議も、まさにこれだった。

この番組の暴いたスクープは、ヤルタ会談で密約されたとするソ連参戦の情報を、すでにヨーロッパに派遣されていた武官が「入手」しており、その進行経過を逐次、国内の軍参謀に打電していた、ということだ。つまり軍部は、近い将来ソ連が参戦することは百も承知していたのだ!

だがそれは、天皇や外務大臣に知らされることはなかった。ソ連が日本に攻めてくることを「隠しながら」ソ連に「仲介」を頼む、という全く不可解な行動をとっていた陸軍参謀。さらに、アメリカと本土決戦をして「有利な条件」で講和を結ぶ、という「荒唐無稽」な計画。そもそも彼らは、全く「当事者能力」を失っていた。ただただ「責任のなすり合い」を演じるばかりであった。当時の天皇と軍部の姿に、私は我が目を疑ってしまった。

関東軍が「壊滅状態」であることを、密かに天皇に上奏した梅津美治郎参謀総長。慌てた天皇は6月22日に自ら「御前会議」を呼びかけ、梅津に対し、自分が聞いたのと同じ事を他の出席者の前で言わせようとするが、何故か梅田はそれを言い出さない。それどころか、またしても「本土決戦」などと言い始める。

そうこうしているうちに、原爆は落とされるわ、ソ連軍が満州に攻めてくるわで、結局60万人の日本人が「無駄死に」する始末。

一番腹が立ったのは、戦後書かれたという、ある当事者の手記が紹介された時だ。「誰も降伏を言い出せなかったことが、日本人の犠牲を増やした」と。それを書いた本人も同じ穴の狢だったくせに、実に、偉そうな「手記」を書くものだ。

日本人は、今も全然変わっていないな、と私は思った。日本人は、今も昔も「責任を取らない」民族だな、と。権力の「責任を追求できない」民族だな、と。権力の「中枢」に居るものに限って、そういうことが「言い出せない」のだな、と。それだから、2011年3月11日のあとも、東京電力の「原発犯罪人」清水も勝俣も、何の責任にも問われること無く、のうのうと畳の上で寝ていられるのだな、と。


関連エントリー<日本でオランダモデルが難しい理由>
http://takashichan.seesaa.net/article/155582416.html

 
posted by takashi at 23:36 | Comment(4) | TrackBack(1) | その他雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 敗戦を決められなかった当時の日本の幹部たちは、個人的な特権を失うのを怖れて一日延ばしにしていた、私にはそのように感じられてなりません。

 国民の食糧事情が極端に逼迫して配給も滞るなか、軍の幹部である限りは無条件で食糧が十二分に得られる、副官や従兵がついて身の回りの世話をさせることができる、官舎も支給され、民間には全くなくなっていた暖房用も炭を20年初頭の段階では、軍の幹部の官舎には配給されていました。

 ポツダム宣言には、戦争犯罪人の処罰と軍の解体が書かれていますから、受諾すれば、高級軍人は一切の特権も給与もなくなり、戦争犯罪人として処罰される可能性もあります。

 ソビエトの仲介とか、本土決戦の勝利とかいったありえないことを言って敗戦を引き延ばしていれば、その間は自分は安全であり特権を享受できる、自分の安全と特権を失いたくないために、軍の幹部が特に敗戦を一日延ばしにしていたように思われます。

 文官は、戦犯に指名される可能性も低く、引き続きの雇用も期待できるので敗戦に対する抵抗感は少なかったでしょうが、戦争の継続を決める権限は軍人が握っていました。

 ポツダム宣言の受諾条件に国体護持が入ったので、今の時点での降伏であれば自分は処刑されない、特権も引き続き享受できる、本土決戦になったらもう駄目だが、今ならば自分だけは逃げ切れると見込んだ天皇が敗戦を決めた、というのが実際のところではなかったのかと思っています。
Posted by たかひろ at 2012年08月16日 16:31
NHKの無料配信を教えて下さってありがとうございます。消されないうちにじっくり見せていただきますね。

それからたかしさんからのトラバ、今回はちゃんと届いていましたよ(^^)
Posted by 秋原葉月 at 2012年08月17日 12:04
こんにちは、お久しぶりです。
少し前ですが「ワルキューレ」って映画を観ました。実話に基づいた映画で「ヒトラー暗殺計画」の話です。
暗殺を計画した人達は「戦争の早期終結」を望んでいました。
「祖国が焦土を化す前に(少しでもドイツに有利な形で)戦争を終わらせなければならない。その為にはヒトラーを暗殺せねばならない」と。
要するに戦争の望む人は「愛国心」なんて微塵も持っちゃいないって事ですよね。どの国でも同じですね。
Posted by うろこ at 2012年08月17日 21:53
日露戦争の指導者たちは緻密な戦略と米英による後方支援を用意し、戦果を冷静に見つめ、機会を逃さず和平に持ち込んだことにより、なんとか敗戦を免れることができました。言い換えるなら、辛うじてロシアに「負けたのは日本ではない」ということを認めさせたわけであって「日本が勝利した」のではありません。

さて、先の大戦で日本の指導者は何をしたか?

戦略は陸海軍でバラバラなうえに緻密とは程遠い行き当たりばったりな代物。責任の所在もハッキリせず、進んで責任を引き受けようとする高官なんて全くいませんでした。
そりゃ帝大や陸海軍の大学校をペーパーテスト的にトップの成績で卒業した方々ですからねwww
1945年の春にスイス駐在武官の藤村義朗中佐が折角OSS(CIAの前身)の責任者アレン・ダレス(ジョン・ダレス国務長官の弟)と接触して和平工作の糸口が見つかった時も軍部や外務省のエリート官僚たちによって結局うやむやにされました。
とどのつまり、軍部が蚊帳の外に置いた「あの方」に「御聖断」を仰ぐという体たらくですからいかに愚かな集団であったかがよくわかります。

さらにいうと、困ったことにアタマの悪いエリートによるこの類の話は現在も継続中なんですよね。

バブルがいずれ破裂するのは分かっているのに対策を講じず不景気のどん底に叩き込み、大企業のリストラによる技術者の海外流出を防がなかったために韓国などに外国企業に頭脳を奪われ、格差拡大を放置した結果「良質な消費者」になるはずの国民の購買能力を奪い、昨年の原発事故ではウソの上塗り重ね塗りをジャンジャンやって責任逃れに終始しています。

あ、そういえば日本軍を英国とソ連で全然違う方向から調査した結果、同じ結論が出たんです。

「日本人は下へいくほど優秀である」

乱文失礼しました。
Posted by oyoyo at 2012年08月26日 09:21
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毎年8/15に思う
Excerpt: <終戦記念日>無念、伝え続ける…元兵士の証言ネットに 毎日新聞 8月15日(水)0時14分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120815-0000000..
Weblog: Afternoon Cafe
Tracked: 2012-08-17 01:05
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