2011年05月28日

「反原発」陣営側の齟齬ついて〜ポスト原発二つの道

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ここのところ、真の「反原発」著名人たちが、国会やTVなどでも、やっと、少ないながらも発言の機会を与えられるようになってきた。説得力のある論陣を張る彼らは、我々「反原発派」にとっては誠に心強い限りである。とはいえNHKや地上波では相変わらず不当に干されているし、せいぜいTV放映もCSあたりが関の山で、ほとんどはインターネットでしか見られないという状況は、それほど変わってはいないが。そんなわけで現時点では、殆どの正しい情報というものはインターネットテレビのみからしか得られない、という誠に由々しき事態がこの日本を覆っているように思える。それにしても、日本のインターネット人口は、何故こんなに少ないのだろう?もしかして、チュニジアやエジプトに比べても「インターネット後進国」なのではないのか、この日本は?

まぁいい。そのインターネットのおかげで我々は、元技術者の後藤政司氏や田中三彦氏、京大の小出裕章氏などの「珠玉」の反原発論者の存在を知ることが出来たわけである。その他にも普段「陽の目」を見ない「反原発」学者がいっぱいいることを知ることが出来た。尤も「玉石混交」で、中には武田邦彦のような「インチキ男」も含まれているわけだが。ここだけの話、IWJの岩上安身氏など、このインチキ男の「猿芝居」にコロッと騙されている。実に情け無い限りだ。話が逸れてしまった。当エントリーの本題は次のようなことだ。

ここのところ、私はそれぞれの反原発オピニオンリーダーたちの議論を聞いていて、若干の「齟齬」に気づきはじめたのだ。同様のことを感じていらっしゃる方も、かなり多いのではないかと思う。思い当たらないだろうか?特にそれは、彼らが「ポスト原発」について語る場面においてである。「脱原発」のあとに、どうしても論じなければならないのが、この「ポスト原発」である。これ抜きにエネルギーの未来は語れない。ところが、この問題において彼らの主張は、実はほぼ二つに割れているのだ。

ここで「脱原発・ポスト原発」のオピニオンリーダーの二人を取り上げて、比較してみようと思う。一人は「元祖・反原発」のジャーナリスト広瀬隆氏。彼は、以前から明確な主張をしている。彼の主張を纏めると、次のようになる。

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広瀬隆氏
http://diamond.jp/articles/-/12199
@原発は、即時全廃する。
A当面は、既存の火力で原子力分を補う。
B足りない分は電力自由化によって一般会社の発電を買い取り補填する。
注)IPP(Independent Power Producer=独立系卸電力事業者)http://www.blwisdom.com/word/key/100271.html
C石油火力は、暫時「LNG(液化天然ガス)」火力に変換していく。
D時間を掛けて、再生可能(自然)エネルギーを導入する。
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つまり、ポスト原発の最良の発電方式として広瀬氏は「LNG」を強く推している。理由は、CO2の少ないクリーンな発電所であること、危険がないこと、したがって首都圏にいくらでも建設可能であること。エネルギー効率55%という驚異的な性能などを挙げている。彼自身の言葉を借りると「原発に代わって自然エネルギーを普及せよと言われますが、これで一番喜んでいるのはじつは原子力産業なんです。自然エネルギーは20年経っても、原発の電力分を100%賄うことはできませんから、原発を推進するための格好の口実になってしまうわけです。」ということになる。そして「それら(自然エネルギー)は長期的なペースで徐々に進めればよいのです。」と結論づける。

もう一人のオピニオンリーダーとして、ソフトバンク社長の孫正義氏を挙げたいと思う。孫氏のポスト原発計画を同様に纏めると、次のようになるだろう。

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孫正義氏
http://news.livedoor.com/article/detail/5514784/
@原発は、危険なものから段階的に全廃する。
Aポスト原子力は、自然エネルギー(太陽・風・地熱)とする。
Bそのためには、全量買取制度を一刻も早く法制化する。
C小数巨大発電所ではなく、多数小規模発電所(家庭のソーラーを含む)による発電とする。
Dスマートグリッドによる効率的な供給を目指す。
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「発送分離」「原発廃止」においては、広瀬・孫共に一致しているが、ポスト原発の「道のり」の展望が、かなり違っているのにお気づきになるだろう。特に重要なのは広瀬氏の「自然エネルギーの普及をせよという主張が、返って原子力産業を喜ばせる」という指摘である。孫正義氏は、事業家としての直感で「自然エネルギーへ直行」しようとしているのである。彼にとっては、むしろ火力は一時的な「補助」であって、最終目標はあくまでも自然エネルギーなのである。しかし、この考えが「原子力産業を喜ばせる」と、広瀬氏は分析しているのだ。ちなみに孫氏の構想は、社民党の考えにほぼ同じである。田中優氏の主張も、ほぼ孫氏と一致していると見ることができる。

さて、私としては四分六で広瀬氏の構想に「分がある」と見ている。通信の世界に「革命」を起こした孫正義を信じたい気持ちも多少あるが、当面はLNG発電所を建設することにより、一日も早く原発を「全廃」させ、そのあとゆっくりと自然エネルギーの開発に力を入れても遅くないのではないか、というのが今の私の考えである。読者の皆さんはどう思われるだろうか?

posted by takashi at 00:57 | Comment(6) | TrackBack(2) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 反原発派のお二人のご意見の齟齬ですが、広瀬氏は、原発即時廃止→火力で当面しのぐ→自然エネルギーへといった順になり、孫氏は、危険性の少ないと思われる原発で当面をしのぐ→自然エネルギーへ転換、といった違いであり、当面を何にでしのぐかの差だと思います。
 当面をしのぐものとして、二酸化炭素を出す火力の方がましか、新しくて事故の心配が少ない原発の方がましか、と問われれば、二酸化炭素は将来の植樹などで再固定化が可能だが、放射能は一度拡散してしまえばどうにもならないので、広瀬氏のご意見の方が良いような気がします。
 ただ、実現の可能性となると、建設費の償却が終了した原発から順に止めていくのであれば、電力会社の会計処理にやさしいので、孫氏の提案の方が政権党としては乗り易いのではないかと思います。

 ただ、その前に、孫氏は帰化人だから本国政府の命令で動いている、震災への寄附も日本人を油断させるための謀略だ、孫氏の原発反対は日本の核武装を妨害するための工作活動である、なとど言い騒いでいる連中をなんとかしなければ、広瀬氏の提案も、孫氏の提案も、諸共に愛国、国防の名のもとに潰されてしまう可能性が高いように思われてなりません。
Posted by たかひろ at 2011年05月28日 13:12
【次のエントリまでの宿題】
・コストの具体的試算。とくにLNGを長期的に調達できるか)。出来たとして、コストはどうなるか。電気代など。
・将来的にどのくらいの電力需要と供給を見込むのか。これなしにどんな議論も意味が無い

・地球温暖化への評価(まさか広瀬説なの?)、CO2削減目標をどうするか。
・自然エネルギーへの技術革新の見込みをどう見積もるのか。賭けでは難しい

・飯田哲也、小出裕章あたりの議論を取り上げないのはなぜ?


また、極めて冷徹に見るなら、今後は稼働中の原発の停止はないし、定期点検中や停止中の原発再稼働、建設中の原発の運転も起きるだろう。放っておけば原発比率は低下する、という飯田氏などは甘い、と思う。

試金石になるのは、まずは、停止中の原発の再稼働をするかどうかだけど。
Posted by 。。。 at 2011年05月28日 16:16
>>。。。

ハァ?オマエ何様よ(藁
Posted by うー at 2011年05月28日 22:48
 やっぱりたかしさんは共産党なんだなあ。「安全優先の原子力行政に転換を」ってポスター何よ(笑)。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=201105/26/23/a0118823_21592635.jpg

 つぎの地震がきたら、もう一発原発が飛んだら日本はこんどこそ終わりなんだよ。
 すでに福島原発の事故で、日本の半分近くは汚染され、まだまだつづく。おそらく関東圏の者は汚染野菜、汚染魚を食わされているだろう。
 「いますぐ原発を停めないでどうする」「気が狂いそうだ」と心で叫ぶ小出先生の真意をぜんぜん、まったく分かってないかのようなしたり意見、両論併記はなんという楽観か!
 原発、即兇悪なのだ。
 あんた、どこの住人? あきれたノー天気だね。
Posted by 本間康二 at 2011年05月29日 22:37
>それにしても、日本のインターネット人口は、何故こんなに少ないのだろう?
私も少ないのかな?と思ってましたが
調べてみたら既に9千万人突破してアジアでは中国に次いで2番目だそうですよ
世界でもトップレベルの多さですよ
日本のネット人口
http://gigazine.net/news/20090721_exploding_internet_map/

にしても原発は即全廃炉にして頂きたいものです
Posted by NDDS at 2011年05月30日 18:41
イタリアが「原発」との決別決定。「日独伊」三国の中で、未だに世界中に迷惑を掛け続けているのは、今や日本だけ。
Posted by たかし at 2011年06月13日 23:20
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