2011年04月30日

中国"春闘"最前線 〜日系企業は何を突きつけられたか〜

久々に原発事故以外のことを書く。

<中国のストライキに思うこと>
http://takashichan.seesaa.net/article/154634621.html

以前私が書いた、上記エントリーの「後日談」とも言うべきドキュメンタリーをBSでやっていた。

----------------------------------------------------------------------------------------
「ドキュメンタリーWAVE」中国"春闘"最前線 〜日系企業は何を突きつけられたか〜
今、最大のチャイナリスクのひとつといわれているのが、中国に進出した日系企業が直面する労使問題だ。去年、中国各地で、日系企業を中心にストライキが燎原の火のごとく広がった。急激な物価上昇や若年労働者の権利意識の高まりなど、大きく変わる労働事情のなかで、日系企業はいかなる姿勢であらたな労使関係をつくりあげ、「春闘」を乗り越えていけるのか、中国沿海部に進出した、ある日系企業の現場を追う。
http://www.nhk.or.jp/documentary/
----------------------------------------------------------------------------------------

中国に進出した、八千代工業株式会社(ホンダ車の部品を製造する企業)が、ストライキを経験する。番組を見て私は、何よりも、中国内陸部の貧しい地域から、広州の同社工場へ働きに来ている、若い労働者たちの「熱気」と「闘争本能」に圧倒された。現代の日本ではもう見られなくなった、ストライキという闘争手段。今の日本では、すでに非正規雇用者と正社員の間の「分断」が、完了してしまっている。悲しいことに、政治体制や法体系がもう、そのように(労働者が団結できないように)変えられてしまった。それをやったのは小泉・竹中だ。だからもう、日本ではストライキなど起こりようがない。

ここで重要なのは、八千代工業株式会社の中国人労働者がすべて「正社員」だということだ。中国に進出した日本企業は、日本で行なったような「分断」をすることは許されていない。日本企業といえども、中国では中国の、ヨーロッパではヨーロッパの、労働法制に従わなければならないからだ。つまり日本でやっているような「横暴」が法律上、海外ではできない。だから日本企業は「生産調整」を「日本国内」で行なっている、ということを述べたのが、上記の私のエントリーだった。

中国では労働組合のことを「工会」と言うらしい。指導部は団体交渉の席で、同業他社の給与明細を社長に突き付け、自分たちの賃上げを迫る。日本人社長は回答を避け、先送りする。そうこうしているうちに、組合の指導とは関係なく、社員たちが自主的に「職場放棄」を始める。その余波は別の生産部門にも、瞬く間に伝わっていく。そして、みごとに脱落者のいないストライキに発展する。

最後には、社長は組合の提示よりもさらに高い水準を、呑まざるを得なくなる。さらに社長は、労務管理政策について、社員の意見を取り入れる約束までさせられることになった。組合の完全な勝利である。このような「絵に描いたような」労働運動が今、中国では展開されている。我々日本人労働者が、もう何十年も前に忘れ去った、真の労働運動の姿だ。中国の若者のバイタリティと反骨精神に、清々しいものを覚えた。この「春闘」の一部始終の撮影を、NHKに許した八千代工業現地法人社長の勇気を、最後に賞賛したい。

再放送は、5月1日 (日) 19:00〜19:49
再々放送は、5月5日 (木) 23:00〜23:49

20110405_152036.gif


posted by takashi at 02:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。プロキシ経由は削除されます。

この記事へのトラックバック
このページのトップヘ