2011年04月14日

東京電力に「責任」は問えない

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「電気事業連合会の解説」
http://www.fepc.or.jp/present/safety/saigai/songaibaishou/index.html

原子力損害賠償法

原子力発電、原子燃料製造、再処理など原子力施設の運転中に発生した事故により原子力損害を受けた被害者を救済するため、1961年に原子力損害賠償法(原賠法)が定められています。原子力損害賠償法では以下のことが定められています。

原子力事業者に無過失・無限の賠償責任を課すとともに、その責任を原子力事業者とする。
賠償責任の履行を迅速かつ確実にするため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入等の損害賠償措置を講じることを義務付ける。(賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なりますが、通常の商業規模の原子炉の場合の賠償措置額は現在1200億円)
賠償措置額を超える原子力損害が発生した場合に、国が原子力事業者に必要な援助を行うことを可能とすることにより被害者救済に遺漏がないよう措置する。

原子力損害賠償制度 原子力災害は、天災や社会的動乱の場合を除いて、原子力事業者に損害賠償の責任があります。電力会社は「原子力損害賠償責任保険」を保険会社と結び、また、国と「原子力損害賠償補償契約」を結ぶことになっています。事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、事業者と国が一体となって原子力損害の填補を行うようになっています。
賠償措置額については、2009年(平成21年)の原賠法の改正により、現在1サイトあたり最高1200億円となり、適用期間が10年間(2019年末まで)に延長されました。
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これは、電気事業連合会のホームページに載せられた解説である。この解説にもあるように、原子力損害賠償法では「原子力事業者に無過失・無限の賠償責任を課すとともに、その責任を原子力事業者とする。」と、決められている。ところが、この法律では「例外規定」として次のことを定めている。

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「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(3条1項)
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まず第一に、東京電力は原子力損害賠償法の上記の条項を「盾」に、損害賠償責任を「放棄」する可能性がある。東京電力が原発事故の当初から主張している「想定外の巨大地震」とは、この条項を意識して発している、いわば「信号」「布石」とみることができる。民主党政府は一応、この「例外規定」は、今回は適用しない方針としているが、奴らのことだから、いつなんどき「適用」に転ずるかは、知れたものではない。そうなれば、東京電力の責任は全く問われず、何の補償義務も生じず、すべての補償は「国民の税金」から出されることになる。「原子力推進派」は、今回の地震・津波を「想定外」であり「予想し得なかった」と、一貫して言っている。ところが、何のことはない原子力損害賠償法では「ちゃっかり想定」していたことになる。こういう法律を通すために、電力会社どもは「御用政治家」を国会に送り込み、金を与えて肥え太らせてきたわけだ。

ちなみに、ドイツにはこのような「例外規定」はなく、無条件で会社に「無限責任」が課せられるのだという。我が国とのあまりの違いに情けなくなる。
「ドイツ政府の原子力政策の現状と今後について」
http://www.ustream.tv/recorded/13962883

さて次に、そうは言っても東京電力に、現実に「支払能力」があるのか?という問題が残る。

原子力損害賠償法によると、原発を持つ電力会社は、事故に備えて国に対し、補償金額を前もって積み立てることになっている(保険会社を通しても構わないらしい)。その額は、1発電所につき最大1200億円と定められており、それ以上は電力会社が独自でまかなうか、負担しきれない場合は国が電力会社への補助金などで支援する、となっている。ところが、1962年の制度開始から2010年度までに、全電力会社が国に収めた補償金は、累計で約150億円しかないのだ。奴らは法律で定められた義務を、全く果たしていない。

今回の原発事故では、おそらく損害賠償額は「数兆円」になるだろう。つまり、東電の支払能力をはるかに超えてしまっているのだ。東電が、内部留保利益をすべて吐き出し、可能な限りのリストラを行ない、役員の個人財産をすべて差し出したとしても、到底及ばない。今後の電力のことを考えれば、残った発電所を「売りに出す」などということなども出来ないのが、一般の企業と違う「電力」という「地域独占事業」の特徴なのだ。なにしろ設備を売りに出す「競合企業」が無いのだから。

被災者たちは、この支払能力のない加害者たちに、虚しい訴訟を起こし続けるしか方法がない。今後、更に放射性物質が大量に吐き出されれば、必要補償額は無限に増えていくことだろう。これから必要な、事故復旧費用も、放射能除去費用も、補償金額も、何もかもすべて我々の税金から出ていくのだ。そしてそのために政府は間違いなく「消費税増税」をやるだろう。

民事責任は、そのような訳で残念ながら問うことは出来ないだろう。ならば、少なくとも「刑事責任」をしっかりと問うていくべきだろう。




 
posted by takashi at 23:41 | Comment(6) | TrackBack(3) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
用語の説明をしますと
「無過失」とは:
通常の場合:民法上損害賠償を請求する場合請求先(被告ですね)の瑕疵や不法行為を証明する必要があります。
「無過失補償を定められた者」の場合:「瑕疵」や「不法行為」がなかったことを証明しない限り請求された賠償を払う義務が生ます。
例:「あー」さんの車が「うー」さんの駐車中の車にぶつかった事故の場合。ぶつかった車が「あー」さん所有であり、ぶつかかった当時「あー」さんが運転していたことを証明する必要が「うー」さんにはあります。(普通の場合:ただし警察の事故証明1枚で済みますが)
ただ「無過失」の場合はその証明はすべて「あー」さんが行うこととなり、不法行為を行っていないことを証明できない場合、賠償責任が発生するということです。
後会社としての「無限責任」というのは、会社が払いきれない場合、社員(重役幹部から平社員まで含む)の私財の一切をその補償に充てるということです。
(ちなみに株主は株券がただの紙になった時点で責任完了です)
無過失責任については、国家賠償法の解説書を読むと詳しくなれます。まあ、国や原発の瑕疵や不法行為を証明するのは大変なので、被告側が「瑕疵や不法行為がないことの」証明をすることになるということですね

※「あー」さん及び「うー」さんで勝手な例え話を作ったことに関してはお詫び申し上げます。
Posted by こっぱなお役人(北のほう) at 2011年04月15日 00:46
 「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない」(3条1項)

 うーん、と思ってしまう、条項ですね。
 よく読むと、天災地変は異常に巨大でなければ免責は発生しないが、社会的動乱は異常に巨大である必要なないようです。社会的動乱であれば、事の大小に関わらず免責は発生することになります。

 ネット右翼がさかんに原発は事故ではない、外国勢力のテロだとのデマを流しています。テロであれば社会的動乱ですから、東電の賠償責任は免責となり、原発の被災者はテロを仕組んだ外国勢力に賠償を求めなければならないことになります。

 デマだからと軽く考えるのは危険だと思います。デマと事実を相打ちにして、問題を棚上げにするという手もあります。
 南京大虐殺は中国の捏造とするデマが右翼によって唱えられました。そうすると、あったとする意見となかったとする意見が両方あって論争中だから、教科書に書くのは好ましくないとされてしまうわけです。

 テロ説が大きくなっていけば、事故説とテロ説と両方あって論争中であるから、結論が出るまでは東電の責任は問えない、それまでは賠償金の支払いは凍結すべし、といった事態になってしまうかも知れません。

 テロ説が出てきて最も得をするのは東電です。テロ説を盛んに流しているネット右翼は、東電と直接的につながっていないまでも、あんたのところが助かるテロ説を流布してやっているのだから、活動費を支援せよ、といったかたちで東電から金を引き出そうと考えているのではないかと思うのは、考えすぎでしょうか。

 「在特会」が原発やめるなデモ、を行なうという話もあり、テロ説の流布とあわせて、東電を支援することにより、何か利益を引き出そうとしているような気がしてなりません。
Posted by たかひろ at 2011年04月15日 09:20
ザイトッカイと読むのでしょうか。
4/16日大阪で反原発のデモがあります。
彼らは登場するのかな、偏向報道止めろのデモのときも同じ日にデモをしていましたが、

原発辞めるなデモはぜひ福島10キロ圏内で行ってほしいですね。
それとも、東電の復旧の応援とか・・
言い過ぎですか。
Posted by ゆきぼー at 2011年04月15日 14:03
在特会…つくづくヒトデナシだな
Posted by うー at 2011年04月16日 06:13
ゴミはゴミ箱へ!
在特会は原子炉へ!
Posted by うー at 2011年04月16日 06:15
東電や清水社長には「業務上重過失致死傷」などの刑事法律が適用できるか。大爆発を起こして被災地住民に精神的な障害を与えたとすれば、立件できるはずです。無罪放免は許されません。刑事・民事・そして道義的責任は免れません。

さらに原発を推進した国にも賠償責任はあります。
生活再建までの賠償をすべきです。
Posted by のんちゃん at 2011年04月16日 15:57
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