2011年03月24日

原発事故所感その7〜赤富士

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黒澤明の「夢」という映画を見たことがあるだろうか?オムニバス形式で、その中のひとつに「赤富士」というのがある。富士山の噴火による地震で、原発事故が起こる(浜岡原発か?)。放出された放射能には、何故か「色」が付いている。逃げ惑う人々。その中に原発を開発してきた技術者がいる。その技術者と、2〜3人の市民との会話から成っているのがこの作品だ。「狭い日本だ、逃げ場所はないよ」「イルカはいいねぇ・・・泳げるからね・・・」「どっちみち同じことさ、放射能に追い付かれるのは時間の問題だよ」今まさに日本で起こっていることを、予言したような作品である。



東京都の水道水から放射性物質が検出され始めた。「乳児の暫定規制値を超す放射性ヨウ素」であるが「直ちに健康に影響があるわけではない」らしい。ただし念のため、赤ん坊には飲ませないほうが良いらしい。この調子でいくと、半減期2万五千年のプルトニウムが検出されるのも、もう時間の問題だろう。福島第一原発3号炉では、プルトニウム燃料を燃やしていたのだ。おまけにあちこちの県では、野菜から次々と放射性物質が検出されている。それもこれも、先刻から予想されていたことである。「大丈夫」「問題ない」「起こらない」で片付けてきたことが、次々現実になり、事態はますます悪い方向へ向かっている。

今さら言ってもしようがないが、それもこれも、東京電力のおかげである。東京電力にお墨付きを与えた政府のおかげである。東電から金をもらい「原発安全神話」を書き立てたマスコミのおかげである。「クリーンで安全な原子力」などと、嘘八百を垂れ流してきたテレビ局のおかげである。金欲しさに原発推進の片棒を担いだ御用学者のおかげである。東電の走狗となり原発を推進してきた政治家、地元に原発を誘致してきた地方政治家のおかげである。そんな政治家を政界に送り出した馬鹿な有権者のおかげである。反原発運動を弾圧してきた警察のおかげである・・・。

加害者は歴然としている。先の戦争のあと、為政者によって巧く丸め込まれて行なった「一億総懺悔」のような愚かなことは、してはならない。責任の所在を散漫にしてはならない。原発に反対してきた人々は胸をはるべきだ。原発に賛成してきた人々、消極的に協力してきた人々、反対してこなかった人々は、罪を償い、反省すべきだ。

東電の下請会社の社員や、警察官、自衛官、消防署員が、必死で作業している福島第一原発を、今再び津波が襲わないという保証は無い。今この瞬間、駿河湾で「直下型地震」が起こらないという保証もどこにも無い。その時は、間違いなくこの日本の破滅の時だろう。
posted by takashi at 10:13 | Comment(4) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
メルトダウンキタ〜というかキテタ〜〜〜〜〜

福島第1原発3号機・作業員被ばく事故 線量計のアラームを誤作動と思い込み作業

フジテレビ系(FNN) 3月25日(金)6時31分配信
福島第1原発の3号機で24日、3人の作業員が被ばくした事故について、東京電力は、3人は線量計のアラームが鳴っていたにもかかわらず、誤作動だと思い込み、作業を続けていたと説明した。
ーーーーーーーーーー(中略)−−−−−−−−−−
水たまりからは、コバルト60、ヨウ素131、セシウム137、セリウム144などの放射性物質が検出されており、1立方cmあたり、あわせておよそ400万ベクレルになるという。
検出されたセシウムやセリウムは、核分裂反応の生成物であることから、東京電力は、高濃度の放射性物質が検出された原因について、燃料が破損して原子炉の外部に流出したためではないかとしている。
ーーーーーーーーーーー(以上)−−−−−−−−

いやー、古典SFの名作「渚にて」を思い出させるシチュエーションになってまいりました。
Posted by おっさんZ at 2011年03月25日 09:23
>「クリーンで安全な原子力」

作業員が被曝したというのに、【みのもんた】が今朝の朝ズバでほざいてました。「クリーンで安全な原子力」と
そういえば、昨日も言ってたな。
Posted by あるふぁ at 2011年03月25日 17:46
アメリカのプルトニウム人体実験

マンハッタン計画の中で、1945年から終戦後の1947年にかけて、ロチェスター大学ストロング・メモリアル病院やカリフォルニア大学病院、マンハッタン計画病院など、複数の医療機関でプルトニウムを用いた生体実験が実施された。被験者はいずれも一般市民で、自動車事故の被害者や末期がん患者、栄養不良のアルコール中毒者など、余命わずかとされて選び出された18人。彼らは、「CAL−1」や「HP-1」といった、アルファベットと数字を組み合わせたコード番号のみで識別されていた。

「プルトニウム人体実験」小学館 
アルパカーキー・トリビューン編/広瀬隆 訳・解説
より
Posted by あるふぁ at 2011年03月29日 17:30
この映画知ってる。
何度見てもゾッとするシーンだな…
Posted by うー at 2011年03月30日 08:06
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