2011年03月13日

今回の原発事故に思う

ありとあらゆる「気休め」の言葉を弄し、事実を隠ぺいし続ける政府。「御用学者」を総動員して、それに追随するマスコミ。責任者であるはずの東京電力社長は、マスコミに一切登場しようとしない。番組枠をすべて取り払った上での、まるで「大本営発表」のようなNHK・民放の報道。そんな中で唯一、CNN(残念ながらケーブルテレビを契約していなければ見れない番組ではあるが)のみが、客観的な専門家(尤も登場するすべての専門家がそうだというわけではないが)を登場させて、比較的的確な現状分析を行なっている。皮肉なものだと思う。世界で初めて、核爆弾を二つも落とされた国が、戦後半世紀、放射能の恐ろしさについて何も学ばず、逆にそれを日本に落とした国が、核について冷静な分析をしている・・・。

私は以前、広島で被爆した子供たちの文集「原爆の子」について書いたことがある。
<徴兵に とられる我が身 信じたくなし ひたすら頼るは 自衛隊さん> 
http://takashichan.seesaa.net/article/105936826.html

原爆によって塗炭の苦しみを味わったはずの「原爆の子」らが原子力の「平和利用」への期待を盛んに文集に書く、というこの不思議な構図。その心理は一体どこから来るのだろうかと考えた挙句、彼らは「救い」を求めているのだ、と結論付けた。そして今、原発推進派日本人も、彼らと同じなのではないだろうか、と私には思えてきた。そうでなければ、この「原子力信仰」の説明がつかないのだ。

日本人の中のごく少数の意識ある人々が、真剣に訴え続けてきた「原発廃止」。いずれこの技術が破たんし、取り返しのつかない結果をもたらすであろうということを、訴え続けてきたほんのわずかな人々。しかし圧倒的大多数の日本人は「推進」「容認」「無関心」の三つに分類される。最大多数派は「無関心」であろう。しかし、この三つは最終的に「推進」派に集約されてしまうのだ。

今回の原発事故が、我々日本人の意識を変えることはあるのだろうか?私の考えでは「否」である。何故なら大多数の日本人は自分の頭で考えることを、とっくにやめているからだ。そのための政府・財界による日本人(中間層及び貧困層)への洗脳は、もう既に完了しているからだ。

今回の原発事故の後も、これまでと変わらぬ風景が見られるだろう。大多数の国民は疲弊し、生活水準は下がるはずだ。だが「富める者」にとっては何の心配もないだろう。彼らは相変わらず、この機に乗じて金儲けに精を出すはずだ。例えばガイガーカウンターを製造している会社の株価は、間違いなく上がる。缶詰製造会社・食品輸入会社しかり。そのうち目ざとい企業によって「放射能防護機能付き雨ガッパ」などというものが作られることだろう。便乗企業の中でも最も有望なのは、ヨウ素の錠剤を作る製薬会社だ。小金(こがね)をお持ちの方は、株を買い占めておかれると良いだろう。インフラの壊滅により日本はたちまち「超土建国家」に逆戻りする。公共事業に群がる土建屋がまたまた息を吹き返す。それに連れてはびこるのが政界・官界の「贈賄・収賄」だ。これが他人の不幸を踏み台に金を儲ける「新自由主義」の国、日本の姿だ。

このたび日本人が生活するこの国土に、放射能を撒き散らしてくださった東京電力の経営者の皆様は、放射能まみれの野菜などけっして食べはしない。財に任せて安全な食品を調達するだろう。それどころか、放射能汚染が全国に広まった暁には、彼らは日本を捨てて海外に逃げるつもりでいるはずだ。ほんの少数の中間管理職が、あるいは「自殺」の道を選ぶかも知れない。それがこれまでの日本の数々の「スキャンダル事件」で繰り返されてきた筋書きだからだ。

私は次のように断言する。日本政府と財界が原発から脱却することはこれからもないだろう。彼らは言うだろう。「次はどんな地震にも耐えられる安全な原発を造るから、安心していてください。」

ではこの原発事故の「責任問題」について彼らは何というだろう。多分こうだ。「予想以上の規模の地震であった。仕方がなかった」。




posted by takashi at 14:50 | Comment(23) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
でも日本の経済はいまある程度原発に依存しているのは事実。そしてこの度の地震の規模の大きさが桁違いなのも事実。にもかかわらず最悪の状況回避できる場合は簡単に原発全廃に踏み出られますか。
私は、全廃主張するなら代案を出すべきだと思います。その分の発電量はどこから補うかという代案を。
Posted by りょう at 2011年03月13日 19:22
反対を無視して原発増設→依存度どんどん上げる→大事故→反対するなら代案出せ
っていうわけですね。
Posted by バージル at 2011年03月13日 20:22
 大変なことになっちゃってますよ。
 計画停電。
 こんなことができるんですかね。在宅酸素吸入器(俺もやってました)使ってる人なんか、どうすんの? 死ぬよ。
 しかし、きょうのあすという話を、マスコミはじつに粛々と報道しちゃって……
 そうか。連日の災害報道はこのためだったのか。
 政府も東電の意のままって感じじゃない。
 なんか変だねー。
 どういうことかたかしさん解説おねがい! というか、ほんと死ぬよ。
Posted by ホンマ at 2011年03月13日 22:53
>在宅酸素吸入器

筋ジストロフィー患者などはどうしたらいいんでしょうね?東電は、問い合わせてくれれば充電池を貸し出す、とか言ってますけど、今日の明日でしょ?明日の9:00?から「計画停電」だそうですよ(笑)。どうやって貸し出しを申し込んだらいいんでしょう?電池やろうそくを買うにしたって、コンビニも仕入れの都合があるでしょうに・・・。明日から消費者は間違いなく「買占め」に走りますよ(笑)。品不足は目に見えている。マジなんですかね?そろそろ東電の社長の顔を拝みたくなってきましたよワタシ(笑)。
Posted by たかし at 2011年03月13日 23:37
それにしてもおかしいのは、原子力関連の社団法人ばかりがTVに出てきて「東京電力」などの私企業が矢面に立たないのは一体どういうわけなんでしょうか?
Posted by たかし at 2011年03月13日 23:43
 いえいえ。第一グループしょっぱなは6時20分発です。
Posted by ホンマ at 2011年03月13日 23:48
 おかしいよね。「1000年に一度の地震」「未曾有の巨大地震」「世界観測史上初」……
 これって、

 だから10世紀間は問題ない
   ↓
 その間に代替えエネルギーをかんがえる
   ↓
 で、けっきょく原発容認。
Posted by ホンマ at 2011年03月14日 00:00
NHKによれば、停電の影響で水道も止まるんだと(笑)。そんなもん今日の明日に言われてもね(笑)。で、それの発表で東電の社長が始めてツラを出しましたよTVに(笑)。おまけに放射能撒き散らしたことには一切の詫びもなし(笑)。
Posted by たかし at 2011年03月14日 00:06
 いやー……
 明日は何が怒るか(ママ)。誰が起こるか(ママ)。
 2ちゃんだか阿修羅の書きこみが面白かったですよ。
 いろいろありました。信号機、街灯、冷蔵庫、エレベーター……
 民間じゃなく、大きいムダがいくらでもあるのにね。
 何かいろいろ裏がありそうですね。
Posted by ホンマ at 2011年03月14日 00:26
 ここまできたら笑うしかないですね。
 怒る気にもなれない。
Posted by ホンマ at 2011年03月14日 00:27
「原発」と「電信柱」は「日本の恥」ということで・・・おあとがよろしいようで(笑)。
Posted by たかし at 2011年03月14日 00:33
バージルさん、
お手数をおかけしました、グッドジョブですy(^^) !
Posted by たかし at 2011年03月14日 00:41
たかしさん、

福島第一原発の炉心崩壊を食い止めることができるかどうかが運命の分かれ目です。

祈りましょう。

部外者にできることは他にはありません。
Posted by バージル at 2011年03月14日 01:52
反対するなら代案出せ
>>
おかしなこと言いますね。
現実を直面する覚悟を聞いているのに。

じゃ私が代案出しましょうか。
その分の発電量を火力発電で補います。ただしコストが大幅上昇しますから電気代は今までの倍以上になります。そして温室効果ガス削減云々やめましょう。これでオッケー?駄目?

なんか条件反射的に反発するのは頂けないんですね。
Posted by りょう at 2011年03月14日 10:50
>現実を直面する覚悟を聞いているのに。

2号機もヤバイぞ現実見てるか?

>私は、全廃主張するなら代案を出すべきだと思います。

全廃すれば昭和30年代くらいの生活にもどるだけだ。
Posted by あるふぁ at 2011年03月14日 17:36
「不勉強」です

「ゴルゴ13」の傑作と言われる「二万五千年の荒野」の話を思い出しますね。
プルトニウム使用原子炉がトラブルで爆発の危機に瀕し、放射能の半減期が24000年と言われるプルトニウムがロサンゼルス中にばら撒かれるかも…という恐怖を描いた作品です。

福島原発ではその悪夢が、まさに現実になるかも知れないという事態になっているのです。(中でも3号機は、実際にプルトニウムを含んだ燃料を使っているとのことです。)
そして横並びに隣接している1〜3号機の3つともが、メルトダウン〜原子炉格納容器の破壊〜大量の死の灰がばら撒かれる・・・というシナリオに片足を突っ込んでいます。

そしてどれかひとつでも致命的な事故を起こせば・・・広範囲が数十年間、場合によっては事実上二度と人の住めない、死の区域となります。すなわち、チェルノブイリの悪夢のまさに再現です。


電気は、今まさに全国に呼びかけて行われているように一定の「節電」は可能だし、コストや料金が倍になったところで死ぬわけじゃない。代替の新エネルギーの開発も時間をかければできるでしょうし、生活様式などはいくらでも変えられる余地もありますからね。

しかし原子力事故のリスクは人類や地球環境にとって「致命的」であり「無限」です。それが事実であり、今起ころうとしている「現実」です。

さて、それでもこの「死神」にいつまでも依存していきたいですか?
Posted by 不勉強 at 2011年03月15日 00:12
不勉強さん、
私もプルトニウム燃料棒を使っているという話をCNNニュースで知って唖然としました。プルトニウムは1グラムで100万人を殺す毒性があると聞いたことがあります。これでも安全なのでしょうね、日本の原発は(笑)。
Posted by たかし at 2011年03月15日 00:21
あ、そうだ不勉強さん、
原発さえ無ければ、日本は「面白おかしく」笑っていられる国だったのでしょうけどね(笑)。もう遅いか(笑)。

Posted by たかし at 2011年03月15日 00:25
りょう さん

>その分の発電量を火力発電で補います。ただしコストが大幅上昇しますから電気代は今までの倍以上になります。

これは間違いです。原発のコストは天然ガスなどを使用した火力発電より高くなっています。一見低く見えるようでも、揚水発電のコストや税金でまかなわれている部分を別に計算したり、最終処分の費用を省いたりという操作が行われたものです。

>そして温室効果ガス削減云々やめましょう。これでオッケー?駄目?

駄目です。AかBかではなく、もっと柔軟な考えを持たなければなりません。

火力以外にも、風力、地熱、太陽光、節電、生活レベルのダウン、いろいろあります。特に、小水力発電の普及はきわめて有効だと思います。

今、新しい情報が入りました。
福島第一原発4号機の使用済み核燃料が環境に放出されたようです。

これも「コスト」です。
Posted by silocco at 2011年03月15日 11:38
東電が作業員の一部を引き上げさせたのは、不吉な予兆ですね。そのうち作業を放棄せざるを得なくなるはずです。あとは野となれ山となれ、です。チェルノブイリがまさにそうでした。そうなれば放射能は撒き散らし放題になります。

Amazonから一昨日注文したガイガーカウンターが「品切れ」になっているというメールが入りました。代金はもう振りこんであります。返金は「Amazonギフト券で」だそうです。
Posted by たかし at 2011年03月15日 13:47
地震救援のため日本近海に来ていたアメリカの空母ロナルド・レーガンが現場から離れたようですから
かなりヤバイですな。
当然のことながら、米軍は日本を守ってくれませんね。(笑)
Posted by あるふぁ at 2011年03月15日 17:12
正直、寝るに寝付けない日々が続いています。震災被害地の状況はもとより、福島および東北・関東の広域が、長らく地図から消えかねない事態なのですから。

本来ならば、震災への対応に総力を傾けられなければならないのに。原発事故に力を割かざるを得ないどころか、下手をすると被災地を放棄して更に避難しなければならない可能性まで大いにある。泣けてきます。

今回よ〜く分かったのは、原発にそもそも「想定外の事態」は「絶対にあってはならない」ことであり、「想定外の事態」が「絶対に起こらないことはありえない」ということです。
この矛盾の上に「原発をつくって、頼り続けてきた」ことそれ自体が巻き起こした、完全なる「人災」だと思います。
Posted by 不勉強 at 2011年03月15日 21:09
多くの「善良な普通の日本人」原発を「怖いけどないと困るし〜」とか言うのです。その人のほとんどが原発の近辺に住んでいない人でしょう。今回の事故が起こった後でも近所のおばちゃんが言ってました。
「代案だせ」とか言ってる人にクリーンエネルギーじゃなく、原発でなければいけない理由を聞きたいものです。
明日あなたの近くで地震が起きて、近くの原発が放射能漏らして、今住んでいる場所が汚染されて住めなくなって、一年後にガンを発病しても同じ事が言えるんですかね?
Posted by うろこ at 2011年03月19日 00:23
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