2011年02月19日

北方領土について

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北方領土で中露の水産会社が合弁事業―日本政府の対応は?
(2011/2/17 ウォールストリートジャーナル日本語版)

中国、ロシアとの領有権問題だけで手一杯だ――日本政府はそう思っていた。ところが今、それ以外の国々も騒動に加わろうとしている。

前原誠司外相(左)とラブロフ外相(11日、モスクワ)日本のメディアによると、ロシア連邦漁業庁は15日、中国とロシアの水産会社が北方領土でナマコ養殖の合弁事業計画で基本合意に至ったと発表した。日本が領有権を主張し続けている北方領土は、第二次世界大戦末期にソビエト軍によって占拠され、現在はロシアの実効支配下にある。

先週末モスクワでの前原誠司外相とロシアのラブロフ外相の会談が平行線に終わったわずか数日後のこの発表は日本政府にとって実に都合が悪い。菅直人首相は「そういうことがあるとすれば、わが国の態度とは相いれない」と強く反発した。前原外相も「事実であれば、全く受け容れられない」と、北方四島が日本の領土であるという政府の一貫した姿勢を改めて強調した。

菅首相が先週、メドベージェフ大統領による11月の国後島訪問を「許し難い暴挙」と批判したことに対し、ラブロフ外相が「外交的でない」と反論するなど、北方領土をめぐる緊張は一段と高まりをみせている。

一方、中国は、昨年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件後、中立からロシア支持へと態度を変えた。だが、中国政府は水産会社間の合意には関与しておらず、合弁事業計画についても認識していないと主張している。漁船衝突事件以来、荒れ続けた海域がようやく落ち着きを取り戻しつつあることに日本政府は胸をなで下ろしたはずだ。世界2位の経済大国に昇格した隣国とこれ以上もめ事を起こしたくないというのが政府の本心だろう。

だが、緊張を緩めるわけにはいかない。ロシアは北方領土での軍事設備の拡充計画を発表し、中国だけでなく、周辺諸国にも北方四島の開発への参加を呼びかけている。

ロシアのインタファクス通信によると、ラブロフ外相は11日、「中国と韓国からの投資をお願いしたい」と述べたという。日経新聞はロシア漁業庁のサベリエフ広報局長が「特に韓国の会社が多くの関心を示している」と明言したと報じている。
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北方領土問題を解決するチャンスは幾つかあった。最大のチャンスはソ連崩壊の時。しかし、自民党政府はこの好機に何もしようとしなかった。

当時TV番組は「北方領土は日本に返還されたほうが良い。そしたら私は日本国籍になりたい」などという調子のよいロシア人住民まで登場させていたものだ(尤も限りなくヤラセに近い番組であったが)。つまりそれほど当時は「北方領土」がロシアの中央から見放された「辺境の地」であったわけだ。また、島民の中にはいわゆるビザなし渡航で根室市などにやって来る者もいた。彼らは量販店などで家電を購入して帰って行った。当時彼らには根室市民の生活がかなり豊かに見えたに違いない。今思えば絶好のチャンスであった「領土返還」の。

さて、それからロシアの経済も順調に回復し、島民の生活水準も上がり始めた。そしてロシア政府も島のインフラにお金をつぎ込むようになった。遂には大統領までが視察に来るようになった。こうなってくると「日本に返還されたほうが良い」などとたわけたことを言う住民はひとりもいなくなる。当たり前だ。20年前であれば、住民の心は中央政府に対する反感と、経済先進国日本へのあこがれの間で揺れ動いてもいたであろう。しかし、自分たちの政府が今や自分たちのためにお金を使ってインフラを整備してくれるとなれば「日本人になりたい」などと、牽制する「必要」もない。

このことは逆に言えば「日本人になりたい」ロシア人島民がいるうちに何とかしておけばよかったのだということになる。だが自民党政権は何もしてこなかった。そして今やもう手遅れである。北方領土のインフラ整備が進めば進むほど「既成事実」が醸成されていくだろう。ロシア人住民の「郷土愛」もそれに連れて醸成されていく。かくして我々日本人の「北方領土返還」の夢は限りなく実現から遠ざかっていくのだ。それだけではない、冒頭に掲げたような「目の前でいちゃつく」ロシアと中国の姿まで、これから存分に見せられ続けることになるのだ。今さらながら自民党政権と第二自民党(民主党)政権の愚かさが悔やまれる。


<追記>
私は北方領土が日本固有の領土であることに疑いは持っていない。それどころか全千島が日本の領土だと思っている。そのことは道理を尽くして全世界に対し訴えていくべきである。だが仮に、これらの島が全て返還されたとしても、残念ながら北方領土には「西武資本のゴルフ場が無数に出来るだけ」であろうこともまた、間違いない。



 
posted by takashi at 13:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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