2010年11月26日

TPPの問題点

TPPの最大の問題点は、これによって日本が決定的に、アメリカの「従属国家」になってしまうということである。つまり完璧にアメリカによって首根っこをつかまれてしまう、ということにあるのだ。考えても見てほしい。もしTPPに加盟した場合、政府の試算ですら日本の食物自給率は現在の40%から16%に落ちるのだという。安くて「粗悪」な農産物が、日本人の食生活・食文化をますます蹂躙・席巻することになる。多くの農業者が農業に見切りをつけて転業するだろう。日本の田畑は確実に荒廃し、二度と作物の出来ない荒地やコンクリートの地面になってしまうだろう。そうなってはもう遅い。二度ともとに戻すことは不可能だ。土地の保水能力は失われ、自然災害に弱い国土に変容するだろう。農業者の減少のみならず、関連事業の失業率をも引き上げる。これらの弊害は計り知れない。

日本人にとってこれほど不都合なTPPには、日本人の誰もが反対だ、と思いきやそうではない。賛成する連中がいるから不思議だ。それは労働者を安くこき使って安い製品を作り、それを外国に輸出して儲けている一部の大企業経営者たちだ。彼らの理屈はこうである。商品をいくら安く作っても、すなわちいくら労働者を絞り上げても、いくら下請け会社を買い叩いても、相手国の関税が障害でものが売れない。国際競争のためにもTPPは必要だ、と。そうだろうか?仮に関税が撤廃されたとして、日本は韓国や中国に勝てるのだろうか?ある分野ではもう完全に韓国に追いつかれ、追い抜かされているのではないか?日本の家電が売れないのは韓国の製品のほうが性能が良いからではないのか?

一部の輸出大企業の経営者の身勝手のために、日本の農業が壊滅したとしても、その元凶の大企業経営者たちには、たっぷりの「金」がある。彼らはいくらでも特別ルートで「安全」な食料を手に入れることが可能だ。彼らにとっては何も困ることなどありはしない。とばっちりを受けるのは我々庶民である。危険な外国産食料品を黙って食わなくてはならないからだ。

<日本の消費者は「やかましい」か?>
http://takashichan.seesaa.net/article/106085834.html

仮に管首相の思惑通り自給率がめでたく16%にまで落ち込んだとしよう。安い米や牛肉がアメリカやオーストラリアから入ってきたとしよう。さてここでまず問題となるのはこれらの食品の「安全問題」である。忘れっぽい日本人はもう記憶にないのだろうか?農薬まみれの米や、プリオンに感染した牛肉のことを。黙っていればアメリカは、こんなモノを平気で売りつけてくる国なのだ。そりゃそうだろう、自分たちが食うわけではない。自分たちが食う分は汚染のないものを確保しておくだろう。そうしておいて「不良品」を日本に売りつけてくるに決まっている。それが「人情」だ、とは言いたくはないが「資本の論理」だ。例えばかつて、アメリカが日本に売りつけてきた「農薬まみれ」のコメに、こちらが文句を言って初めて「ポストハーベスト」をやめたという過去の「実績」がある。言わなければやめなかっただろう。ポストハーベストなどやっている米なんぞ買わないよ、と意思表示して初めて彼らはその「悪習」をやめたに過ぎない。彼らにモラルなどない。あるのは「資本の論理」だけだ。これと同じイタチごっこがTPPによって永遠に続くことになる。

さて、作物が順調に収穫できている間は、それでもさほど問題はないかも知れない。日本人が「苦情」を言えばポストハーベストもやめるかも知れない。しかし問題は「食糧危機」が訪れた場合だ。自国民の食料を削ってまで、この日本に食料を分けてくれる国が果たしてあるだろうか?何処にも分けてくれる国がない場合に、果たして日本人は「食の安全」を主張して危険な食料の輸入拒否をし続けることが出来るだろうか?食うものがなければ多少危険なものでも、食わずに死ぬよりましだと考えるのではないだろうか?かくして有害物質に汚染された食物や、得体のしれない遺伝子操作をされた食物を、否応なしに食わされることになる。「カビ米」を売りつけられても文句も言えなかったこの日本という国が、ますますアメリカに何も言えなくなるのだ。これが私の言うアメリカの「従属国家」という意味だ。

アメリカやオーストラリアのような国は、自国に有利な条約を日本に押し付けるために「兵糧攻め」を仕掛けてこないとも限らない。それらの国だけではない、チリや東南アジア諸国は食料自給率がほぼ100%だ。彼らだっていざとなったら「兵糧攻め」はたやすく出来るのだ。言うまでもないが、最も危険なのはアメリカという国だ。食料を握られたらますます日本はアメリカに何も言えなくなる。火を見るより明らかだ。

それともうひとつ。労働力の自由化の問題がある。書き始めるとキリがないが、これについては「土佐高知のブログ」で、土佐高知氏が述べておられることが、私の言いたいことをほぼ100パーセント代弁してくれているので、参照願いたい。
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-2097.html

罰則を伴った有効な最低賃金法が確立していない日本において、外国人労働者を「自由化」したらどうなるか?大企業は何を企んでいるのか?彼らの目論見通り「労働力の自由化」が万一実現したら一体どういう事になるか?そんなことは分かりきっている。その結果訪れるであろう事態は次のとおりである。

大量の日本人失業者と、奴隷労働を強いられた外国人労働者の山

これも火を見るより明らかだ。
posted by takashi at 13:27 | Comment(2) | TrackBack(3) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「食料を自給できない国を想像できるか。そうなった国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ。食料自給は国家安全保障の問題である。アメリカ国民の健康
を守るために輸入食品に頼らなくて良いのは、何とありがたいことか」ジョージ・ブッシュ

田中康夫ちゃんのTOUTUBEが勉強になりました。
http://www.youtube.com/watch?v=JvBhl7rt4rU&feature=channel
http://www.youtube.com/watch?v=aV4fmGVP3kw&feature=channel
Posted by プーニャン at 2010年11月26日 21:29
買うか買わないかは、消費者が決めることです。
政府が決めることではない。
Posted by muu at 2011年01月07日 23:49
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NO.1932 市場任せのTPPは亡国、売国の政策だ。必見の国会論戦(動画)。
Excerpt:  二大政党制による政治の劣化は顕著ですね。低調と言うべきか、レベルの低い国会「論戦」の中にあって、この質問は必見です。勉強になります。(ちょっと長いですが・・・)                ..
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Tracked: 2010-11-26 15:59

肥満と飢餓。。。&、尖閣「固有の領土」論のことなど。。。
Excerpt:  こんばんわ。  今日は一日中クソ眠たくて眠たくて、ダラダラしていた"風"デス。  いつの間にか始まって、あっという間に終わってしまったAPEC首脳会議。アホらしくてフォローする気にもなれ..
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Tracked: 2010-11-26 23:07
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