2010年10月24日

「転び右翼」考

あなたが学校卒業したてのフレッシュマンで、入りたかった企業に見事に受かったとしよう。その企業は、経営も順調で社会的にも評価が高く、良い製品を数多く造っている。また、慈善事業などにも適宜お金を使う、いわゆる「優等生企業」だったとしよう。あなたにとって憧れの会社である。そんな企業であなたは働き始める。しかし数年後、あなたは社内で孤立を始める。上司から疎まれ、同僚からも嫌われ始める。理由は何でも構わない。あなた自身に問題があろうがなかろうがどうでも良い。そしてついにあなたは「協調性がない」などの理由で解雇される。解雇理由に不満があるあなたは、労働組合に駆け込む。あるいは弁護士に相談する。そして就業中の精神的ダメージを、安全管理義務不履行として、労働基準監督署に訴える。これらの行動はすべて「正当性」があり、あなたはけっして間違ってはいない。正当な権利として憲法に保証されており、非難される謂れはない。生活防衛としても当然の権利と言えるし、裁判にも馴染む案件である。あなたはその企業の体質・実情を社会的に糾弾し、訴える行動にも出ることになる。労働組合はあなたの後押しをしてくれるに違いない。以上のことは、何度も言うがけっして間違いではない。生活の糧を得るための就職の場合、これらは当然の行動である。

しかし、政党活動の場合どうであろうか?あなたがある政治政党の活動・理念・歴史に共感し、その政党の一員になったとしよう。ところが数年後あなたはその仲間の中で孤立する。あなたの行動が党の規約に違反し、除名される。もちろんあなたはその規約も含めて党の一切の規則を理解した上で入党したわけである。除名処分を受けたあなたは、その政党を猛烈に憎む立場に、一夜にして豹変する。それまで振り回してきた「理論」だの「哲学」だのはもう完全に頭から吹っ飛んでいる。もともと、あなたにとってそんなことは、どうでも良い「アクセサリー」もしくは「ステータス」に過ぎなかったのだ。最初は形ばかりの「反省」をして党に留まろうとするが、結局除名という処分に甘んじざるを得ないことになる。さて、日が経つにつれ憤懣やるかたないあなたは、今度はその政党を批判する側に回る。党憎しに凝り固まったあなたは、それまで敵対していた「右翼」と手を結び、党批判を生きがいにするようになる。「社会的不正義の追求」「体制批判」といったことは一切やらなくなる(もともと始めからそのようなことには関心が無かったのだから必然の結果といえる)。そのような人物は枚挙にいとまがない、袴田里見、伊藤律、有田芳生、筆坂秀世・・・。もっとも有田芳生だけは「オウム事件」で良い仕事をしているし、彼のテーマは「共産党批判」だけではないから別格かも知れないが。有田の名誉のために一言付け加えておくことにする。

企業をクビになることと、政党を除名されることは根本的に意味が違うはずである。生活の糧を得るため「契約」をして入社するのと、思想に共鳴して「自由意志」で党に参加することは、けっして同列ではない。ましてや「除名」されたことの不当性を「裁判」に訴えるなどというのは、勘違いも甚だしい。党の方針に馴染めずに離党(除名でも何でも構わないが)したのであれば、党から離れて自分の思うとおりの政治活動を、別の政党に入るなどして続ければよいだけの話である。うじうじとマスコミを利用して恨み言を発信したり、あろうことか右翼に加担して党の足を引っ張るなどというのは、人間性を疑いたくもなる。だったらもともと最初から右翼政党に入っていればよかったのではないか、ということになる。
posted by takashi at 17:34 | Comment(5) | TrackBack(0) | ぶさよでぃっく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさしく同感・・・。その転び右翼がネット上を徘徊しているんですね。

とにかく某政党批判となると俄然張り切って、「官僚的指導部と一般党員の乖離」を声高に叫んでいます。

たかしさん・・・【労働組合はあなたの後押しをしてくれるに違いない。】のところはちょっと違いますよ。個人加盟の労働組合ではない圧倒的多くの労働組合は、会社と一体となって正当な権利を主張したり、既得権を守ろうとする労働者を異分子として排除しようとしています。そして大企業労働組合は機関決定で組合員を縛り、民主党や社民党への支持を押し付け、組合費をその選挙活動費として使ったりしているのですね・・・。労働組合の劣化が急速に進んだ事が、今日の労働者がいじめられている最大要因でもあるでしょう。
Posted by s at 2010年10月26日 21:50
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/kyousan/1285038860/605

代々木の某党にはいくら勧誘されても入党してはいけない、というのが結論?
Posted by 田村智夫 at 2010年10月26日 22:58
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/kyousan/1285038860/605

代々木の某党にはいくら勧誘されても入党してはいけない、というのが結論?
Posted by 田村智夫 at 2010年10月26日 22:59
2ちゃんの情報強者の愚者どもは相手にするな、というのが結論であります。
Posted by あるふぁ at 2010年10月27日 17:11
あら〜、反売国さん。あちらですごくお元気なんですね。
私の事も書いてある(笑)。
戻って来ればいいのに、、、。
Posted by 山田の案山子 at 2010年10月27日 18:12
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