さて、人間が頭を撃ち抜かれた場合、果たしてこんな死に方をするものだろうか?どんな小型の拳銃でも、至近距離から額の真ん中を撃ち抜いた場合、かなりの銃瘡が付く。弾の入り口は小さくとも後頭部の出口は10センチほどになるだろう。脳内を貫通する際に弾は回転しながら間違いなく「脳幹」を滅茶苦茶に破壊する。
そのような状態で果たして人間は意識を保ったまま、ナプキンを外したうえで2、3歩あるく、などということが出来るものであろうか?出来る訳がない。「ゴッドファーザー」のこのシーンには全くリアリティがないということになる。人間が頭を撃たれる事件が日常茶飯事であるようなアメリカで何故、映画の演出者(それもあのフランシス・コッポラ!)は、こんな間違いを犯すのだろう?私はそれが以前から不思議でしかたがなかった。
では、人間が頭を撃ち抜かれた場合、どんな死に方をするのだろう?正解は「その場に崩れ落ちる」である。脳を破壊された「瞬間」に、人間の意識はもはや存在しない。全身の筋肉が完全に「弛緩」し、人形師が手を離したマリオネットのように「一個の物体」と化す。これは例えて言えば「パソコンの電源」を一気に落とすようなものである。ちなみに脳が破壊されない場合、例えばギロチンや日本刀で首を落とされた場合、脳内に酸素が残っているしばらくの間(数秒かそこららしいが)首の方には意識があるらしい。だから日本刀で首を落とされる人間が最後に見るシーンというのは、自分の目の前に迫ってくる「地面」の映像と、数秒間の「低い位置から見るこの世の風景」ということになる。
さて、頭を撃ち抜かれた人間が、どのような死に方をするか、その実物を私は映像で見たことがある。次のサイトの中ほどにある、米ペンシルヴァニア州財務局長のR.バド・ドワイヤーの拳銃自殺である。何と!当時、この事件の瞬間は、日本のテレビ局でも放映されたのだ。思えば放送コードというものは、あの頃かなり緩かったのだ。現代で言うならばこれは、テロリストに生首を切り落とされる人質の映像を、茶の間に流すようなものだった。
http://x51.org/x/07/08/1331.php?page=3
>収賄容疑で有罪判決を受けたドワイヤーは、記者会見を開いて無実を主張した。そして一通りの発表を終えると、記者団が見守るその中で、おもむろに手に封筒の中から 44マグナムを取り出したのである。会場は騒然とし、「止めろ!」「早まるな!」といった声が飛ぶなか、ドワイヤーは冷静に銃口を加え(ママ)、そのままあっけなく自殺したのだった。脳みそが吹き飛び、鼻から多量の血を流し続けるドワイヤーの姿は、間もなく、全米にテレビ放映された。
私はその瞬間をはっきりと見た。そしてその時以来「脳を撃ち抜いたとき人間はこんな風に死ぬものなのか」ということを知った。彼はマグナムを口にくわえ、自分の脳天めがけて引き金を引いた。その瞬間背景の壁が一瞬にして血で染まった。それと全く「同時」に彼は「物体」と化して床に崩れ落ちたのだ。以下の映像は心して見ていただきたい。
http://snardfarker.ning.com/video/budd-dwyer-suicide
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読者の皆さん、頭を撃たれた人間は、痛そうに顔を歪めたりはしません。苦しそうに2,3歩あるくこともありません。それがリアリズムです。このリアリズムを「無視」した映画が、先の「ゴッドファーザー」以外にも一杯あります。中にはその辺をよく理解している制作者が、しっかりと考証して作ったものもありますが(例・・・戦場のピアニスト)、8割の作品は脳を撃たれた人間が苦しそうにもがき苦しみながら死んでいきます。実は人が頭を撃たれる実写画像はYouTubeなどでも見ることができます。多くは第二次大戦中の「捕虜処刑」の実写フィルムです。頭を撃たれた捕虜は100パーセント、その場に「崩れ落ちて」死んでいます。
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より引用
頭部銃撃=即死ではない。
脳を破壊されても人は生きてゆけるのだ。
脳は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に別けられ、それぞれに役目がある。脳全体が破壊されない限りは、特定の役目が果たせなくなるだけだ。たとえば前頭葉が破壊されれば考え、話し、行動することに、側頭葉ならば聴覚に、後頭葉ならば視覚に、支障が出てくるといった具合だ。
脳の中心にある脳幹を破壊すれば即死だ。脳幹は中脳と橋と延髄から構成され、脳と脊髄を連結させる重要な部位で各種の運動信号がここを経由し全身に送られている。拳銃自殺といえば頭の横を目がけて引き金を引くというのが一般的だが、脳幹まで破壊しきれているかというと疑問が残る。銃身を咥えて引き金を引く ‐ 威力の小さい拳銃弾でもこれならば完璧だろう。ここまでは拳銃による頭部銃撃の話だがライフルや散弾銃が使われれば、脳幹を狙え云々などはどうでもよいことになる。頭部の大半が吹き飛んでしまうからだ。
以上、引用しました。
補足ありがとうございました。
さて、銃弾でも小さな場合は即死にならない場合もあります。
1968年にロバート・ケネディは22ショートという小さな銃弾を頭に受けました。でもライフル弾が命中して即死した兄のジョンと違い翌日に死亡しました。
またアメリカでこめかみに拳銃を当てて引金を引いた男性がいましたが、弱い銃弾は脳を破壊できなかったため彼は死にませんでした。
銃弾による破壊は運動エネルギーなので銃弾の重量が軽く発射速度も小さい銃弾にはそれが十分備わっていないことがよく判ります。
以上、蛇足でした。
蛇足ありがとうございました。
ところであるふぁさん、oyoyoさん、
私は「至近距離から」「額の真ん中」を撃たれた「ゴッドファーザー」の場合を問題にしています。ベレッタは強力な銃です。この場合「脳幹」損傷は「必至」です。なお、頭を撃たれも「死なない」ことがあることは、この私にも分かっております。頭に7.7ミリ機銃を受けながらゼロ戦を操ってラバウル基地まで数百キロも飛んで帰還した、坂井三郎のような人がいるのも知っております。まず私のエントリーの「前提」をよくお読み願います。以上ご参考まで(笑)。
ベレッタと一概に言われても謎?ですが、この場合は9×19弾または9ミリパラベラム使用の銃(ベレッタM92クラス)の事とと思われますが、
「人の殺され方」著者ホミサイド・ラボの事例では
「男性が357マグナムによって頭部銃撃を受けたが、生命維持装置なしで1時間34分生存した。」
というのがありました。
ちなみに357マグナムは9×19弾より強力です。
もっとも頭部を撃たれた場合、自分の意識で行動するのは不可能ですね。
なぜなら、映画「ゴッドファーザーpart1」が公開された1972年、また「ゴッドファーザーpart2」が公開された1974年、ベレッタM92は、まだ世にでていないからです。この銃の発売は、1975年です。
確かに額のド真ん中を至近距離から狙えば即死する方が多いでしょうね。ただ分厚い頭骸骨と後頭部の存在を思えば助かる可能性も否定できません。
>ベレッタは強力な銃です。
言いにくいことですが・・・
マイケルが指紋が付かないようテープを巻いた拳銃を使うシーンのことを言っておられるなら、あれはコルトかS&Wのリボルバーのはずです。
他の暗殺シーンのことを言っておられたならごめんなさい。
「いいにくいことですが」と、上のコメントのoyoyoさんはじめ、みなさん強面じゃないですか。
たかしさんは、映画は苦手のようですね。過去記事での『戦争と人間』(山本薩夫監督)の記述にしても、『人間の條件』(小林正樹監督)との混同がありました。
それとも、ネトウヨをひっかけるための釣りでしょうか。
映画におけるリアリズムの指摘がありましたが、それをいうなら日本の時代劇などは嘘の固まり。刀でぶった斬ったりしたら、それこそ凄惨地獄で映画になどなりゃしません。
また、よくいわれる黒澤のリアリズムですが、脚本家の山田太一さんにいわせると、あれは非リアリズムもいいとこ、あんな雨の降り方、黒澤の描く自然現象などあるものかという表現になります。
わたしは『ゴッドファーザー』はボックスで買い、何度も見ているくらいあの映画は好きです。oyoyoさんなどは専門分野ですぐわかって、しかし遠慮されていままで黙っておられたのでしょう。
その点、わたしは、自信のないままグーグル検索をかけたり、画像検索にかけたり、スミスアンドウェッソンまでは分かったのですが、映画のはグリップ部分が特殊で、それで自信がなくてさらに検索をかけてました。
しかし、変だなと。たかしさんともあろう人が、ベレッタなどというだろうかと。どうもひっかけではないか、そう思ったら指摘する気持ちが失せました。ところが、わたしとおなじ気持ちの方がいたようなので、このまま見過ごせにはできませんでした。
話が脱線しました。
リアリズム云々の話です。
ソロッツォ暗殺の場面は、『ゴッドファーザー パートI』中、最重要場面に属するくらいの名場面です。あそこからマイケルの変貌が加速度的になるのですから。
ちなみに、この場面の設定はこうです。
・拳銃は故意に音を大きくする改造銃であること。
・殺害を目的として、1人に2発ずつを前提に、マイケル恨みのソロッツォは、こめかみとノドの2発。
これが本記事の描写にあたります。
わたしに銃器の性能等に関しての技術的知識はありません。
とはいえ、あの場面を印象づけるには、リアリズムとだけはいってられないと思います。そしてそれをもってしても作品評価がそこなわれないことは、いまにして不朽の名作として輝く事実がなによりの証明です。
わたしは武器オタクのネトウヨ系に『スズメバチ』というフレンチガンアクションのDVDを送って後悔しました。
わたしはアクションを語りたかったのに、フランス特殊警察で、あの武器はどうの、あの車両はどうのと、かんじんなストーリーの感想そっちのけで、そんなこと話され、いっぺんにイヤになりました。
映画の解説にはこうあるのです。それを用いるキャラクターの性格に合わせ、それっぽいガンを与えたものであり、その点は敢えて考証を無視したと。その種の例は枚挙にいとまがないほどです。
>「人の殺され方」・・・私の好きなジャンルですので、こんど読んでみます。
oyoyoさん、sutehunさん、情報をありがとうございました。
>あれはコルトかS&Wのリボルバーのはずです。
そうですか?だったらベレッタではないですね、私の勘違いでした。失礼しました、今後は気を付けて書くようにします。イタリアン・マフィアだから短絡的に「ベレッタ」だと思ったのかも知れません(ベレッタはmakotoも使っているし・・・)。それと、あのシーンではきっと弾が「脳幹」をはずれていたのかも知れませんね、多分そうでしょう。それで歩けたのだと思います・・・ ( ^ ^ ;ゞ ということでひとつ、この話題はカンベンしてください。
本間さん、いらっしゃい。
実はこのエントリーと、もうひとつのアンソニー・ホプキンズのエントリーを書きながら、そろそろ本間さんが現れるんじゃないかなと、内心ビクビクしておりました(笑)。そうなんです。私は時々、良く調べずにとんでもないことを書いてしまうことがあるんです。一度などは「愛子さま」を、秋篠宮親王の娘だと書いてしまって、ネトウヨ共からボロクソな目に遭わされたことがあります。文章を書く以上、いい加減なことは書いてはいけないなと、今回はつくづく反省いたしております。
<追伸>
今度、船橋のマルエツへ行ったら「和菓子詰め合わせ」買ってこようと思います。
このたびの私のエントリー記事は、大変に独断に満ちておりました。自分の思い込みにより、よく調べもせずに書いてしまったことをお詫び致します。たかし
http://news.livedoor.com/article/detail/4971568/
私も話をマニアックな方向に持っていってしまい、申し訳ありませんでした。
自分はバカウヨじゃありませんが、武器オタクなんです。
変なことを書き込んで申し訳ありませんでした。
なんの圧力差なのか、出典がどこかも覚えてないので自信はないですが、納得だなと思った記憶があります。
参考までに
頚動脈は顔や脳に酸素を豊富に含んだ新鮮な血を運ぶ血管で、この経路が断たれれば脳の細胞は死滅する。一度出血すれば心臓に近いことから血の噴出量も大きく止血は不可能だ。打ち首やギロチンなどで左右の頚動脈が同時に切断されれば瞬時に行動力を失う。
「人の殺され方」より引用
専門家では無いので詳しいことはいえませんが、頚動脈を切断された時点で脳への酸素の供給がストップしますから、ただちに意識不明になると思います。
首を切断された事例は今のところ探し出せていません。もし見つかりましたらコメントします。