2010年09月04日

小沢一郎の羽振り

ここのところ小沢一郎の羽振りがいいみたいだ。鳩山・菅と続いた政権が「あまりに」ひどかったので、その「揺り戻し」が小沢に返ってきたということなのだろう。もしこのまま押し切って小沢が首相になったらなったで、また新たな、より決定的な「失望」がおとずれるのはまず間違いないのだが、現首相である菅の「消費税増税」発言や「法人税減税」発言、挙句の果ての広島平和公園での「核は抑止力として必要」発言などなどが「度外れて」ひど過ぎたので「相対的」に小沢の株が上がったのだろう。先日行われた候補者討論会の勝敗も、客観的には「小沢の勝ち」だろう。政策の具体案をそれなりに提示する小沢に対して、菅が口にすることは観念論の類と、ところどころにちくりちくりと混ぜ込む「金と政治」の話(要するに小沢に対する牽制)。菅は「サポーター票」を獲得する目的で俄かに中小企業団体の講演会でパフォーマンをやってみたり、薬害被害者の講演会で、村山政権時代に薬害エイズ問題でテレビで頭を下げた、自分のカッコいい「実績」を盛んにアピールするなど余念がないようだ。それに対する小沢は翌日のワイドショーに朝から単独で出演し、ほぼ「言いたい放題」。

@衆院選マニュフェストは守る。
A「四年間は」消費税は上げない。
B歳出削減で財源を確保する。
C大企業は、従業員や下請け業者にもうけを分配すべきだ。

などなど・・・。それでも菅に比べると「耳障りの良い」セリフをあれこれ並べ立てていた。では@をまずやってもらいたい。派遣法・障害者自立支援法等の廃止・改正の「骨抜き」をまず何とかしてもらいたい。後期高齢者保健は即刻廃止してもらいたい。マニュフェスト通り中小企業(だけ)の法人税を下げてもらいたい。と同時に、一年前のマニュフェストで最初から問題のあった部分は見直してもらいたい。「定数削減」がそれである。Bの破綻はもう「事業仕分け」で証明済みだ。軍事費に手をつけない「事業仕分け」にはほとんど何の意味もない。Cの「大企業は・・・」の発言は大谷明宏氏の質問に答えたものだが、要するに小沢の言いたいのはこういうことである。

「法人税を下げるのは結構だが」
「その前に従業員の給料を上げたり、下請け業者の外注費の買い叩きをやめるべきである」

これはどういうことかと言えば大企業の「善意」に期待する、ということに他ならない。その「善意」に期待できないから「税金」で強制的にとるわけなのだが、小沢にはその「発想」が理解できない。いや、分かっているからこそ、直接税の増税は「口が裂けても」言えないのだ。そもそも大企業は「人件費」を削り「役員報酬」を多く払う、というのがその「習性」である。であるから北欧などの「福祉国家」では、その分を法人税として徴収し、さらに個人所得税の「累進課税」を通して社会の富の配分が平等になるように「修正」して、弱者を救済しているのだ。それが「租税」の社会的意義なのだ。何度でも言うが、この日本の景気と生活を立て直すのは思い切った「直接税増税」しかない。

※なお小沢は番組中で「大企業の特別優遇を考慮すると、日本の法人税実効税率がスウェーデンより低いこと」しかも「社会保障負担を考慮するとその差がますます大きいこと」を共産党以外の議員で初めて指摘していた。これは私にとって全く「意外!」であった。とは言っても、どうせ菅直人への「牽制」以上の意味はないのであろう。が、この認識を忘れず自分の発言には是非責任を持ってもらいたいものだ。



あと、当初「国策捜査」と言って批判していた検察が「立証できなかった」ことを理由に、自分にはやましいことはない、などと「お墨付き」をもらってようなことを言わずに、もし総理に就任した暁には「国会証人喚問」に自ら立ってもらいたいものだ。

国民が直接選挙するわけでもなんでもない民主党の党首選挙だが、今回のように候補者討論会であるていど「政策論議」がなされるだけでも、自民党の時よりは少しマシかも知れない。

民主党の5つの約束

1 ムダづかい
国の総予算207兆円を全面組み替え。
税金のムダづかいと天下りを根絶します。
議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減します。

2 子育て・教育
中学卒業まで、1人当たり年31万2000円の「子ども手当」を支給します。
高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。

3 年金・医療
「年金通帳」で消えない年金。
年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。
後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。

4 地域主権
「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。
農業の戸別所得補償制度を創設。
高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。

5 雇用・経済
中小企業の法人税率を11%に引き下げます。
月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します。
地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。

posted by takashi at 13:27 | Comment(6) | TrackBack(2) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
菅か小沢どちらが勝つかは知りませんが、小沢が負けたら小沢一派を引き連れて民主党離脱、そして自民党との連立なーんてのをやったりするんじゃないの?
Posted by あるふぁ at 2010年09月10日 17:25
菅が勝ちましたね。どちらが勝っても大して変わりはしないと思います。
しかしながら、小沢信者どもの言い訳が楽しみです。
ネトウヨばりの「マスゴミがーー」ってね。
Posted by あるふぁ at 2010年09月14日 17:36
あるふぁさんは、マスコミは常に公正・公平の報道をしているという認識ですか?

仮に公正・公平な報道をしていたという前提で、今回の小沢氏の敗因はどこにあったとお考えですか?政策ですか?実行力の期待の無さですか?演説力ですか?党内における人望ですか?

個人的にはマスコミ世論に左右される政治家が多いことこそが日本をダメにしていると思っています。私は反対ですが、マスコミ世論は議員定数削減に大賛成ですよ。

Posted by FK at 2010年09月15日 04:56
>>FKさん

>マスコミは常に公正・公平の報道をしているという認識ですか?

そういう意味で言ったわけではないです。
小沢信者が今回の代表選で各新聞社やメディアが取ったアンケートに対してはきまって「捏造だ!」とか「恣意的だ」との意見を述べていたのでネトウヨの主張と変わず滑稽だと思ったわけです。
まっ、マスコミもネットも玉石混合で公正・公平では無いですな。

>小沢氏の敗因

小沢信者に言わせれば国民の民度が低いそうですが、むしろ民主党がグダグダだからじゃないですか?
Posted by あるふぁ at 2010年09月15日 17:29
>小沢氏の敗因

逝きし世の面影さんで陰謀論を交えて解説してくれるのでは?
Posted by あるふぁ at 2010年09月15日 17:32
>あるふぁさんへ

お返事ありがとうござます。

マスコミ報道の認識は共有できているようですね。また小沢氏の敗因が、民主党がグダグダという見解も賛同できます。まともであればマスコミ報道に惑わされる事無く2006年の菅VS小沢の代表選挙のように小沢氏勝利になっていたという見解ですね。
Posted by FK at 2010年09月15日 22:25
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代表戦の公開討論が始まって、菅氏も小沢氏も総理にふさわしくないことを再度確認しました。
Excerpt: 民主党の代表選、私は政策論争を尽くして欲しいと書きましたが、ちょっと訂正。 考えてみたら議論が深まるわけはありませんでしたね、だって...
Weblog: Afternoon Cafe
Tracked: 2010-09-05 00:05

NO.1834 財界要求 法人税5%下げ 最大2.5兆円の減収 減収分は消費税で賄え
Excerpt:  法人税を引き下げて消費税を引き上げる。 財界の手前勝手な要求に政府も唯唯諾諾と従う・・・。 以下資料だけにて失礼。  「法人税
Weblog: 大脇道場
Tracked: 2010-09-05 01:22
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