2010年07月27日

日本人の「スケープゴート」好きが勝たせた「みんなの党」の正体

過去何十年にも渡って国民の税金を使い、築きあげてきた公営企業を二束三文で、私企業に払い下げるという「芸当」をやってのけるために、支配層は「なりふりかまわぬ」手段を使ってきたし、今でも使っている。

その昔、自民党政府が、国民の共有の財産であった「日本国有鉄道」を切売りして、民営化を企んだ時、彼らがどのような「デマゴギー」を用いたか?私は今でも忘れられない。そのとき一般新聞紙は、自民党の「お先棒を担いで」どのようなことを報道していたか?そのうちのひとつで、今でもよく覚えているのが「国労の組合員たちは、勤務時間中に風呂に入っている」というものであった。

如何であろうか?誰しもこれだけ聞けば、国労の組合員たる国鉄労働者は「とんでもない労働者」だということになってしまう。そこが彼らの「狙い」だった。そして彼らの思う壺、読者はまんまと騙され、その後国労批判がエスカレートしていった。

種明かしをするとこういう事である。

新聞記事によると、まるで国鉄職員全てが勤務時間中に「風呂に入っている」「けしからぬ連中」であるかの印象を与える。しかし実際にはほとんどの職員は、勤務中に風呂には入っていない、当たり前だ(笑)。ただし国鉄職員といっても、いろんな職種がある。事務職や改札係などは勤務中に風呂などに入る必要はもちろんない。あの炎天下で冷房なし(当時)の「KIOSK」のおばさんだって、勤務中に風呂になんか入ってはいなかった。ただし、たとえば二十四時間勤務の現場職員が、夜勤交代の「休憩時間」に風呂に入る、などということはあったろう。だがそれは、民間の会社でも当然ありうることだし、それらの企業にはそのための入浴施設さえ「福利厚生施設」としてあるかも知れないではないか。

ただし、国鉄の中にただひとつ、勤務中に風呂に「入らざるをえない」職種があった。車両点検係である。彼らは客車のトイレの糞尿を処理する際に、飛沫を浴びる。作業後には風呂に入らずにはいられない。もっとも「風呂」ではなく「シャワー」だったらしい。この事実を新聞社は「スクープ」として大々的に報じたのである。

そのだいぶ後の郵政民営化の時も「郵便局員は国民の税金を食いつぶしている」といったデマが流された。そして、日本の有権者はそのデマに踊らされて「郵便局員」を「スケープゴート」とみなし、2005年の衆議院選挙で、小泉自民党をめでたくも「圧勝」させた。

そして今「みんなの党」がやっているのが「公務員バッシング」だ。世の中景気が悪くて貧困者や失業者が溢れているというのに公務員は地位が保証され、税金で「のうのうと」暮らしている、というわけである。だから公務員の給料を減らし、数を削減するのだという。今回もこの「レトリック」に踊らされた有権者の多くの票が「みんなの党」に流れたのは、まず間違いない。日本人の「スケープゴート」好きを上手く利用した戦略の勝利だといえよう。

さて、公務員といっても高級(=高給)官僚から国会議員、村役場の職員まで多種多様である。一体全体「地位が保証され、税金でのうのうと暮らしている」公務員というのは全体の何パーセントなのか?「地位が保証され、税金でのうのうと暮らしている」公務員というのは、例えば「公益法人」などの一握りの「天下り」だけではないのか?そのような事実にはいっさい触れずに「みんなの党」は、何故かひたすら「公務員=悪」を一方的に「印象」付けることに腐心している。それにしても何故、日本の有権者はこうも簡単に「スケープゴート」戦略に騙され易いのだろうか?

さて「公務員を減らす」というけれども、公務員はもうこの日本では充分に減らされているのだ。嘘だと思うなら国民一人あたりの公務員数をヨーロッパ諸国と比較してもらいたい。国会議員の数しかりである。

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「公務員数の国際比較」より
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5190.html




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「すくらむ」より
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10483001253.html


そもそも日本の「公務員」の職種のうち、かなりの部分がすでに「非正規」化しているという現実がある。本来「公務員」とは、少なくとも「建前」としては、民間企業では要求されない類の、特別の「倫理観」「使命感」をもって、職務を遂行すべき職種であった。当たり前だ、国民の税金で養われている「公僕」だからだ。そのためにかれらは、難しい「公務員試験」を通って公務員になったはずである。その「公務員」のかなりの部分が「資本」の論理で運営される「派遣会社」に、既に取って変わられているという「既成事実」。これを我々はどう見たら良いのか?

公務員の「給与額」については、私は「みんなの党」の言うことに賛成である。ただしその「方法論」は全然別であるが。公務員の給与は本来、民間(大企業零細企業すべて含む)の給与水準に応じて「スライド制」にすべきであろう。もっともここには「既得権」の問題も絡んでくるし、何より法律的な手続きが必要である。ただ、とにかくどのような理由であれ「数を減らす」ことはすべきではない。この考え方は何の問題解決にもならない。そして、これは公務員に限ったことではない。

本来なされるべきことは何か?公務員に限らず、すべての労働者は「オランダモデル」を参考に、数を減らすことなく適正な賃金(同一価値労働同一賃金)が保証されるべきなのである。公務員の仕事を、公務員資格のない「派遣」や「非正規」に置き換えたところで、所詮ただの「スケープゴート」に過ぎない。日本人によく見られる「他人の不幸を喜ぶ」類の「スケープゴート」である。そしてそのようなことに「喜び」を見出す「一部の日本人」が、このたびの参議院選挙で「みんなの党」様に大量の「票」を与えたというのが私の分析である。

「みんなの党」の渡辺喜美の父親、渡辺美智雄は「日本人は真面目に借金を返すが、アメリカには黒人やヒスパニックなんかがいて、破産しても明日から金返さなくても良いアッケラカのカーだ」をはじめとした、数々の「暴言」を垂れ流し、国内外から顰蹙を買った政治家としてつとに有名だが、その息子もさすがに大したものだ。恐らく彼の頭の中には、警察官までもが「民営化」された「ロボコップ」のデトロイト市ような「我が国の未来像」があるのではないだろうか?

参考スレッド
<日本でオランダモデルが難しい理由>
http://takashichan.seesaa.net/article/155582416.html

posted by takashi at 15:50 | Comment(11) | TrackBack(6) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
みんなの党に投票した愚か者は物事の本質を見ないで(見ようとしない)表面的な事でのみ判断したように思えます。

このみんなの党は自民党清和会の亜種であり、非常に危険なものを感じます。
マスコミで相当プッシュされてたようですので、アメリカか電通が背後にいるのは間違いなさそうです。

それにしましても、公務員バッシングしてる連中(ネトウヨや無党派、小泉教の信者が多いと思われます)は、自分らがしてる事が筋違いなのが分からないのでしょうか‥
Posted by コンポコ at 2010年07月27日 20:58
>公務員バッシングしてる連中

この様な連中は、「大して働かない公務員が税金を使って高額の給与を貰っている。」と単純に信じているのでしょうね。
Posted by あるふぁ at 2010年07月27日 22:23
実際に地方公務員の給与と地方の民間人の所得格差は大きいからな。
Posted by R at 2010年07月28日 03:08
現在、某県庁所在地の市役所で臨時職員として働いています。
時給は820円、ただし雇用保険以外の保険に入らせる義務を逃れるため、1日の労働時間は5.5時間です(休憩1時間ですので、拘束時間は6.5時間)。
職務は正規職員とまったく変わりません。起案もすれば支払処理もします。窓口対応もします。
しかし雇用期間は半年単位、しかも1年以上連続しては勤務できません。
扶養内で働く人が多いためか、主婦が目立ちます。
おそらくどこでも似たようなものだろうと思いますが…。
Posted by ねこねこ at 2010年07月28日 19:12
Rさん、ねこねこさん、
お書き込み有難うございます。これからもよろしくお願い致します。
Posted by たかし at 2010年08月01日 17:32
バッシングを是とする人たちは、“公務員”全てが終身雇用だと思ってるんでしょうね。
今や、ねこねこさんのような臨時雇用・日々雇用の職員も多いってのに。
Posted by AS at 2010年08月03日 13:35
ブログ主は公務員ですか。

勤務中にブログ書いてるの?
Posted by 神 at 2010年11月21日 19:06
>>神

それひょっとして気の利いた皮肉のつもり?
痛杉。頭悪そー(藁
Posted by うー at 2010年11月22日 07:18
>>神 クン

神クンはニートですか。

暇つぶしにコメント書いてるの?

Posted by あるふぁ at 2010年11月22日 17:30
この大衆迎合政党にはウンザリです (; ̄ー ̄川
なんかやたらと議員数削減して民意をさげたいのでしょうか。

日本は英独に比べて議席数的にも決して多くはないです。

そして削減額も微々たるものです。

渡辺氏って案外欺瞞に満ちてこずるいですね。
Posted by ふーくん at 2010年11月22日 18:56
「みんなの党」。最初からなんの期待もなかったし、秘密保護法でのこの振る舞いもさもありなん、と思うだけですが、マトモに見えた議員さんもいたのになぁ。・・朱に交われば赤くなるってやつでしょうか。
Posted by アマヤ at 2013年11月19日 19:58
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