2010年07月06日

日本でオランダモデルが難しい理由

日本で「オランダモデル(ワークシェアリング)」の実現が難しい理由、それは、基本的に日本人が「スト破り」民族だということ。

「スト破り」とはどういうものか、皆さんご存知だろうか?ご自分が「スト破り」をやった経験がある方もいれば「スト破り」の被害を被った、という方もいらっしゃるだろう。つまりこういう事である。

ある日、会社で「水曜日はノー残業デーにしよう」とか何とか、そんな「通達」が出たとする。どういう事になるか?8割は通達通りに5時に帰るが、残りの2割は「ここぞとばかりにノー残業デーに残業する」のである。これを「スト破り」という。早い話が「抜け駆け」というやつだ。こういう「行動」で目立つことによって、会社の「覚えをめでたく」し、リストラの順番が自分に回ってくるのを「回避」しようという魂胆なのだ。これがすなわち「スト破りの心理」である。この手合いが日本人には実に多い。かくして「水曜日のノー残業デー」は、1ヶ月も経たぬうちに「なし崩し」に「元の木阿弥」となる。

注)戦時中の「神風特攻隊」もほぼこれと同じ。必ず一人は「お調子乗り(=スト破り)」がいて「志願」する。一人志願すればあとは「なし崩し」。全員がその「お調子乗り」に右へ習えで「嫌々ながら」志願してあの世へ旅立つ。これが日本人だ。

この「スト破り」が、経営者に重宝されるところに、この日本という国の「病根」がある。何よりも問題なのは「残業」「長時間労働」を「忠誠のバロメーター」として社員(ことにホワイトカラー社員)を「評価」して来た、日本の企業文化である。実際に仕事していようがいまいが関係ない。ナーニ、ほとんどの奴らは仕事をしている「フリ」である。部課長クラスは、やることもないくせに10時11時まで会社に残って、何やらだべっている。上司がそんな訳だから「出世」を狙う部下も帰るわけにはいかない。5分で片付く仕事を3時間にも引き伸ばして延々とやっている。エクセルでマクロを組めば一瞬で終わる仕事を、手作業でわざと引き伸ばす。もちろんエクセルのマクロが組めないのも理由の一つ(笑)。かくして全社員がこぞっての壮絶な「残業競争」とあいなる。重要なのは残業代が支払われない場合でもこの「競争」が起こるということだ。いわゆるサービス残業でも本人はまったく意に介さない。全世界が不思議がる日本人の精神構造のひとつである。だが、この「慣習」だけはちょっとやそっとでは「思考転換」出来るものではない。

さてワークシェアリングであるが、この「スト破り」がある限り「理論的に成り立たない制度」なのである。国民の2割が「スト破り」であるような国では、実現不可能な制度なのだ。

もうひとつ日本での障害は企業である。実際にワークシェアリングを日本で実現しようとした場合、一番のネックになるのが日本の大企業の存在であろう。大企業経営者にとって「同一価値労働同一賃金」が伴なうワークシェアリングは「悪魔のシナリオ」である。理由は「労働を買い叩けなくなる」からである。オランダモデルにおいては、法律上フルタイムの社員とパートタイムの社員の、時間あたり賃金と社会保険の権利は全く同一である。このような制度を日本の大企業が歓迎するかどうか?考えなくとも分かるであろう。

オランダでは1982年の「ワッセナー合意」という政労使三者間の協定により、それが実現されたわけだが、その中で経営者に課せられたものは、@雇用の維持A労働時間の短縮のふたつである。労働者に課せられたものは「労働時間短縮に伴う賃金の一時的なダウン」のみであった。オランダでは時短の効果として、内需が大幅に回復したが、これは社会保障が完備したオランダだから起こり得たことであろう。日本には社会保障がないに等しいから、賃金が下がった場合、生活を切り詰めても貯蓄に回すことは間違いない。そして何よりも日本人は結局「抜け駆け」して長時間働くのだ。

オランダ人は、政治意識が日本人よりも格段に高く「スト破り」の国民性もない。狭い国土を「干拓事業」で広げたため、国土の殆どが海抜より低く、水害の危険性が高いオランダでは、国民の間の「結束・団結」が強いと言われている。オランダ人の有名な冗談に「世界は神が造った、しかし、オランダはオランダ人が造った」というのがあるくらいだ。

日本で「オランダモデル」を成功させるためには、企業経営者の「思考回路」の転換と、長い間の企業文化が培ってきた労働者の「スト破り」体質の転換が必須だが、私の予想では少なくとも100年はかかるだろうと思っている。
posted by takashi at 11:42 | Comment(13) | TrackBack(1) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分なりに労働問題を勉強している私としては、今回の記事は非常に興味深いものがありました。

日本人が仕事を仕事様と神聖化しているのは民度の低さに影響を間違いなく与えている思います。
それと日本人はいかに卑怯卑劣で思いやりがないのかというのも分かりました。

劣悪な労働環境と程度の低すぎる政治に毒されたくありませんので、いつか日本を出て行きたいです。
Posted by コンポコ at 2010年07月06日 22:30
はじめまして。興味深く読ませていただきました。

私も、残業=やる気の示し方(笑)な職場にいたので、
ワークシェアリングなど日本で成り立つはずがない、と思っていました。
ああいうのって「スト破り」って言うんですね。

その元職場では「スト破り」常習犯が私よりも年下だった
(「終電が定時でしょ?」とか平気で言ってました)
ので、この国の労働問題はまだ解決には程遠いのではないかと感じています。

私もそろそろ日本を出て行きたいです。
Posted by lingt at 2010年07月07日 17:12
初めて失礼します。

残業が一種のバロメーターになっているのは確かにそうですね。残業を人事査定に反映させることも判例上も問題ないですしね。
あとは、欧米の労働者に比べて、日本の労働者が余暇よりも賃金を選ぶ傾向が強いということも影響していますね。
Posted by シュー at 2010年07月07日 17:31
若い皆さんが日本を出て行きたがるのは寂しいことですね。大企業も法人税が高いからといって日本から出て行くようですし・・・そのうち日本には誰も居なくなるかも・・・(笑)。
Posted by たかし at 2010年07月07日 22:29
 たかしさん、お久しぶりです。
 自民党や他の有象無象の自称保守政党は、「法人税が高い」と不平不満ばっか言ってる財界のお歴々に対し「愛国心はないのか!」と一喝する気概すらないようですね。
Posted by mebarun at 2010年07月08日 11:29
めばるんさん、
ここのところネトウヨがぱったりとやって来なくなりました。寂しいです。また「営業活動」始めよかな(笑)。
Posted by たかし at 2010年07月08日 12:00
民主主義を自らの手で手に入れることができなかった低能が日本人の正体ですものね。
民主主義の実行については西洋が正しくアジアが劣っていることを素直に認めざるを得ません。
Posted by とりごん at 2010年07月09日 22:13
【要注意】みんなの党は新自由主義・小泉改革自民党の直系政党

asahi.com(朝日新聞社):与党、過半数は困難 朝日新聞終盤情勢調査 - 政治
http://www.asahi.com/politics/update/0708/TKY201007080575.html
与党過半数厳しく 参院選全国終盤情勢 - 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201007060399.html
「参院選、終盤情勢 与党過半数割れ濃厚 みんななど第三極10議席以下」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/412174/

情勢-- 現 要 朝日推計 共同推定 産経予測 過半数
------+--+--+--------+--------+--------+------
民主-- 62 -- 42-49-57 44-49-57 48-51-55 ------
国民新 03 -- 00-01-01 00-00-01 00-00-01 ------
無所属 01 -- -------- -------- -------- ------
(小計) 66 56 42-50-58 44-49-58 48-51-56 不可能
社民-- 02 -- 01-01-02 01-02-02 01-02-02 ------
(小計) 68 54 43-51-60 45-51-60 49-53-58 困難--
共産-- 03 -- 02-04-05 02-04-04 02-02-04 ------
(小計) 71 51 45-55-65 47-55-64 51-55-62 ギリ可

終盤情勢は民+国+社+共で過半数がギリギリ可能。これ以上、与党の議席数を減少させると危険水準です。
「民+み」で過半数がギリギリ可能。★★★「民+み」の連立になると、非正規雇用が大幅に増加します。
みんなの党は新自由主義・小泉改革自民党の直系政党なので、小泉時代のように状況を悪化させるだけです。
『当面だけの』消費税率維持に乗せられて、みんなの党へ投票を考えている有権者は、目を覚ますべきでしょう。
民+保守各党の連立になれば、消費税は 10% どころか、10% → 15% → 20% と青天井になります。
よって、比例代表は社民の保○○人氏に、また与党の議席数が予定以上に減少しすぎたので、
選挙区は民主党に投票し、議席数を調整します。

みんなの党 清和会 小泉 - Google 検索
http://www.google.co.jp/search?ie=auto&q=%A4%DF%A4%F3%A4%CA%A4%CE%C5%DE+%C0%B6%CF%C2%B2%F1+%BE%AE%C0%F4

cf. http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/liveplus/1276782795/34-
Posted by nobody at 2010年07月10日 11:37
どうぞ出て行ってくださいw
こうした一面だけを切り取って理由様世界様と奉るあなた方は思考停止した方々なんでしょうか。
個別で仕事をしたいなら仕事をすればいいしその職場が気に入らないなら職場を出ていけばいい。
ここに書かれてあることが正しいという根拠もない。
日本人はとひとくくりにして個別性を無視している。

それと右翼も暇ではありませんので文句だけを垂れ流し仕事をしないあなたがたみたいな人を相手にできないんですよ。

Posted by ぽっぽ at 2010年11月07日 01:59
(うー)
>>ぽっぽ

>どうぞ出て行ってくださいw

ハァ?オマエ何様?

>日本人はとひとくくりにして個別性を無視している。

そういうオマエは労働者の権利意識スト破りに理解あんのかよ(藁

>個別で仕事をしたいなら仕事をすればいいしその職場が気に入らないなら職場を出ていけばいい。

だ ー か ー ら ー ね ー、
無力な労働者にはそれができねーっつーのが問題だっつーの。そうかそうかそんなに資本家のイヌになりたいのか。なーにが「個別性」だ(藁

>文句だけを垂れ流し仕事をしない

根拠ゼロの妄想乙(藁

>あなたがたみたいな人を相手にできないんですよ。

そう言いながらカキコせずにいられないオマエは何?
ヴァーカ(藁
Posted by うー at 2010年11月07日 08:30
【たかし】

ぽっぽさん、おはようございます。
あなたは「土佐高知の雑記帳」からいらしたのかな?むこうでは何という名前で出ていらっしゃるのでしょう?
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-2081.html#comment5620
一つ訊いていいですか?あなたはこのエントリーの何処に腹が立ちましたか?「スト破り」をやったことでもあるのですか?もう来られないとは思いますが、もしお答え頂けるのならお聞きしたいなぁ(笑)。
Posted by たかし at 2010年11月07日 08:31
>>ぽっぽクン

>それと右翼も暇ではありませんので文句だけを垂れ流し仕事をしないあなたがたみたいな人を相手にできないんですよ。

右翼のかたのお出ましですか?このエントリーに「右翼」についてなどブログ主は述べておりませんがね?
そもそも右翼活動は仕事ですか?仕事どころか数々の法令違反を起こし反社会活動にしか見えませんが、どこから正当な報酬を得ているんでしょうね?
Posted by あるふぁ at 2010年11月07日 11:01
たかしさんのコメントとはちょっと違う気がします。
というのは、職場では昼間は外回りか現場、夜か早朝に事務的仕事をする、というパターンが大半です。ですから過密労働の象徴「セブンイレブン」という働き方が一般化してしまいます。しかもサービス早出・残業、仕事が減ると首切りでポイと捨て、です。
また、一部の人に業務の負担がかかるケースが多いです。事実公共交通機関がなく、送迎バスの出ない時間帯では「タクシー通勤」を自腹でした身です。業務工程や従業員の特性上どうしてもそうなってしまうのです。
一人で入れる組合に入り、定時で帰る人や、高給取りで時間にうるさい人には、上司からまともに仕事を与えられません。となるとサービス残業を誰かが引き受けることになります。
Posted by のんちゃん at 2011年08月19日 22:45
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