「新語」が造られ易い言語は「活性」がある。「概念」が次々と広がるからだ。「名詞」に関してはどの言語も大差ない。差が出てくるのは「動詞」の新語である。ドイツ語は「新動詞」がどんどん作られる言葉である。理由は、二つの単語をくっつけて「概念」を作るからだ。有名な?「aufheben 」(アウフヘーベン)のように。日本語も「新動詞」が作られ易い。「〇〇する」という形で無限に作られ得る。それ以外にも「ダベる」「カモる」「パクる」「ラリる」などいくらでも作れるし、最近では「ググる」などというのもある。
英語はそうでもないようだ。サンドウィッチから「挟む」という意味の「to sand」が出来るまでにかなりの時間を要したはずだ。何故ならサンドウィッチというハムを挟んだパンの存在がまず世に知られなくてはならなかったであろうし、更にその料理がサンドウィッチ伯爵というトランプ好きの人物に由来するということが、一般化しなくてはこの動詞は作られようがなかったからだ。現在でこそ「to Google」が「Googleで検索する」という動詞になるのにそう時間はかからないが、18世紀には気の遠くなる時間を要したに違いない。
日本語では比較的形容詞が作られにくい。「い」で終わるという規則があるからだ。しかし「ダサい」「マブい」に見られる新語は数多く見られる。その代わり「連体詞」と呼ばれる品詞はほとんど無限に作ることが可能だ。「シャイな」「ブルーな」「ファンキーな」というふうに「な」を付けるといくらでも製造可能である。さらに「漢語」と組み合わせることにより多種多様な造語が可能だ。
日本語には「連用詞」と呼ばれる副詞の一種があるが、これは「とぼとぼと」「スタスタと」「ちゃっかりと」のように「と」で終わる。同音反復名詞のあとに「と」を付けて作られることが多い言葉である。
以上見てきたように日本語とはかなり「活性」のある言語である。漢語や外来語をこれほど上手く取り入れてきた言語はないのではないかと思う。中国語では例えば西洋の言葉は必ず「漢字」に変換して用いる。その当て嵌め方は「発音」である場合と「概念」である場合の二つの場合があるようだ。例えばコカコーラ 「可口可楽」は発音を当て嵌めたものであるが、ホットドッグ「熱狗」は「熱い狗(いぬ)」という「概念」を当て嵌めたものである。ビートルズは「甲虫合唱団」と言うらしいが、何とも興冷めするような呼び名ではないか?
参考スレッド
<英語のカタカナ表記について>
http://takashichan.seesaa.net/article/141828268.html
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一つは、仰るとおり「甲殻虫」です。これは、まあ、直訳です。
もう一つは、「披頭士」です。こちらは大変奥深い訳し方です。
まず、これは「ピートーシ」(pi tou shi)と発音し、音訳といえます。
しかしまた、「披頭士」は「長い髪の紳士」という意味を有し、これはある意味非常に上手くビートルズの雰囲気を捉えた妙訳だと思います。あの時代にあの髪型ってやはり象徴的ですからね。
では、どちらのほうが常用ですかって聞かれましたら、やはり披頭士のほうです。併記の場合は「披頭士(甲殻虫)」という風に表記されます。実際、グーグルで検索しても、やはり披頭士が多いですね。因みに、甲殻虫で検索したら、かなりの比率で別なものに引っかかってしまうが、披頭士だとほぼ100%ビートルズの項目に行けます。
貴重な情報をありがとうございました。