2010年04月19日

盗作問題について

上海万博のテーマソングが「盗作」であるとして「使用禁止」になった。確かに2コーラス目のハーモニーを除けばほとんど同じ曲のようである。これが「盗作」であることは間違いないであろう。しかし、音楽作品の「盗作」を決めるのは難しい。古今東西「盗作」を疑われた曲は無数に存在するが、そもそも「盗作」と「断定」するための「基準」が存在しない。

絵画について言うと、もともと「模写」という「習慣」があって、それはそれで「作品」と認められる場合すらある。例えば著名な画家が著名な画家の作品を「模写」した場合、その「模写」にも一定の「価値」がある。また作品そのものではなく「構図」「テーマ」などを「拝借」することが、絵画では日常的に行われている。

音楽に話を戻そう。一般に「よく似た曲」は次の三つの場合があると考えられる。

@意識した盗作
A無意識の盗作
B偶然似たもの(たぶん盗作ではない)

問題は@とAである。本人には「盗作」という意識のない「盗作」がありうるのだ。早い話どこかで聞いたメロディが、頭のどこかに残っていて、それが口をついて出ただけなのに、あたかもそれが自分の「霊感の泉」から湧いてでた、と錯覚してしまう場合である。「凡庸」な作曲家の場合、よくありうることである。「無意識の犯行」であるから「確信犯」に比べて罪は軽いと思うが「盗作」は民事案件であるため、そのような「情状酌量」はない。

作曲という行為を良く考えてもらいたい。作曲家は「無」から「有」を生み出す仕事である。偉大な作曲家ほど「無」から作り出した「有」をたくさん持っている。しかし。バッハにしてもモーツァルトにしても「無」からばかり作曲をしていない。過去の自作を「剽窃」したり、以前用いたパッセージを「再利用」したりもしている。また、時代背景も関係しているのだが、当時は今日と違って「盗作」が「犯罪」ではなかった。バッハはヴィヴァルディの曲を改作しているし、ヘンデルはテレマンの曲を改作している。ともあれバッハの場合、楽譜に「ヴィヴァルディ氏の作品に拠る」旨の断り書きがあるので「盗作」とは呼べないだろう。絵画における「模写」に近いかも知れない。

A無意識の盗作の例
「早春賦」と「知床旅情」
「鉄腕アトム」と「シューベルトのピアノソナタ 第21番 変ロ長調」
「雪の降る街を」とショパン「幻想曲へ短調」
「ライムライト」と「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番」

B偶然似たもの(たぶん盗作ではない)の例
「いそしぎ」と「五木の子守唄」
「you'd be so nice to come home to」と「ツィゴイネルワイゼン」

posted by takashi at 12:51 | Comment(5) | TrackBack(0) | その他雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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                       < 急 募 >

皆様、
「たかしズム」では「盗作疑惑」を募集致します。
この曲はあの曲の盗作じゃあないか?という情報がありましたら当コメント欄にタレコミをお願いします。たかし

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Posted by たかし at 2010年04月19日 13:12
岡本真夜のtomorrowとパッヘルベルのカノン
Posted by うー at 2010年04月19日 16:18
リッチー・ブラックモアズ・レインボウのキャッチ・ザ・レインボウ
          ↑
ジミ・ヘンドリックスのリトル・ウィング
(私の勘違いだったらごめんなさい でも似てる)
Posted by KIYOちゃん at 2010年04月20日 01:00
先日、ラーメン屋に入ったら、David Bowie "Modern Love"の関西弁バージョンがかかってました。
後で調べたらウルフルズの「ええねん」という曲でした。
Posted by 阿蘭隅椎 at 2010年04月22日 03:21
ベンジャミン・ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」とヘンリー・パーセルの「ロンド」。
Posted by たかし at 2012年03月13日 10:03
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