2010年03月03日

「沖縄タイムス」朝鮮学校無償化除外問題

「沖縄タイムス」が朝鮮学校無償化除外問題について秀逸な社説?を掲げている。内容について一言苦言を申し上げるならば、朝鮮人と日本人は同じ「人種」であるから、この場合「人種差別」ではなく「民族差別」と言うべきだろう(注。しかし細かいことは別として、ジャーナリストとしては至極まっとうな主張だと思う。何故大新聞がおなじ論調で記事を書くことが出来ないのだろう?

記事にもあるが、朝鮮高校は全国で10校。約2000人だそうである。2、3日前のエントリーにも書いたが、この程度の「出費」で日本が、欧米の「人権先進国」から「後ろ指」を指されなくて済むのであれば安いものだと思う。私の嫌いな言葉だが「国益」にもなるのではないか?戦後一貫してドイツと比較され「無自覚」「無反省」を嘲笑され続けてきた我が国の現状は未だにこの程度なのである。

「国連人種差別撤廃委員会」の審査結果と勧告は、3月中旬に公表される見通しだという。それにしても日本人の「人権感覚」というものはどうしてこうも「外圧」に頼らなければ「進歩」しないのだろう?外圧でも「進歩」しないものすらある。長時間労働の是正などは数十年も「勧告」され続けている。日本人はもう少し「倫理の国際標準」というものを学ぶべきだろう。

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[高校無償化]朝鮮学校除外は筋違い

人種差別として国際社会をがっかりさせそうだ。
 衆院で審議入りした高校無償化法案に対し、在日朝鮮人の子弟が通う朝鮮学校への支援はすべきではない、という意見が閣内で上がっている。
 対北朝鮮強硬派の中井洽・拉致担当相が一貫して圧力強化を主張しており「(生徒は)日本が制裁している国の国民だ」と、朝鮮学校を除外するのは当然との考えを強調している。
 政府は当初、学校の種類で支援の有無を区別すべきではない、という考えだった。閣内から異論が上がったことで、川畑達夫文部科学相は学校の教育内容を見て適否を判断する、としている。
 拉致問題がある北朝鮮に日本が厳しく対処するのは当然だ。しかし、在日朝鮮人の子どもたちの教育をめぐる問題を外交問題と同次元で扱えるだろうか。
 国連人権差別撤廃委員会が9年ぶりに行っている対日審査会合で25日、この問題が取り上げられた。北朝鮮との外交関係を理由に差別的措置がとられようとしている、という問題認識が委員から指摘された。
 審査会前にNGOが放映したビデオは、日の丸を掲げた集団が京都の朝鮮学校前で集会を開き、「北朝鮮のスパイ養成所だ」と罵声(ばせい)を浴びせている様子が映し出された。
 審査員は「なぜ北朝鮮がやっていることで、子どもたちが責められるのか」と問うた。審査会は朝鮮学校が公的援助を受けられない現状を問題視した。それは人種差別とみなされる。
 朝鮮学校の高校課程に相当する高級学校は、沖縄にはないが全国で10校。約2000人が学んでいるという。 日本の敗戦後、在日朝鮮人たちが母国語を取り戻そうと各地で始めた学校だ。1950年代後半から北朝鮮の援助を受けて存続してきた。厳格な思想教育が行われた時期があり、教育内容が偏向しているという批判もあった。
 現在は、例えば東京朝鮮中高級学校は生徒600人のうち韓国籍が49%、日本籍1〜2%で、民族の言葉や文化を大事にしたいと通わせる家庭も増えた。授業の大半は朝鮮語で行われ、朝鮮史など以外は日本の学習指導要領に沿って授業しているという。
 こうした「民族教育」に対する受け止め方も問われている。米国ハワイ州でもハワイ語で授業する学校があり、言語、風習を守ろうと取り組んでいる。
 教育と外交問題を同一視すべきではない。
 高校無償化法案は、公立高校の保護者から授業料を徴収せず、国が授業料収入相当額を補填(ほてん)する。私立高や専門学校生らには世帯の所得に応じて年額約12〜24万円の就学支援金を支給。学校教育法では「学校」と認定されていない外国人学校を含む「各種学校」も無償化の対象としている。
 ほとんどの国公私立大学が朝鮮学校の受験資格を認めており、多くの地方自治体が独自の助成金を交付している。
 そこで学び、青春を過ごしている若者たちは何も違わないはずだ。(2010年2月27日沖縄タイムス)
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http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-02-27_4002/

(注
Racism>人種差別

Racismが一語で表された「一次名詞」であるのに対して、日本語にはこれに当てはまる単語がないため「人種+差別」という複合名詞(すなわち二次名詞)を用いている。そのため「人種」の定義が強く作用し、概念が狭められていると言える。
posted by takashi at 11:46 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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