映画というのは私の子供の頃は贅沢な楽しみであった。したがって、たくさんの映画を見たわけではない。幼い頃の記憶で今でも残っているのは、近くの映画館で家族揃って見た2〜3本であろうか。物心ついてから印象に残っているのが「空の神兵」である。第二次大戦中の日本軍(現在の自衛隊でもそうだと思うが)で、エリート部隊として訓練された「空挺部隊」の活躍を描いた「戦意高揚映画」である。当時はこのような戦時中の「国策映画」が一般の劇場でぼちぼち上映され始めていたのだ。昭和30年代中頃であるからアメリカの占領政策も終り、軍国主義も多少「解禁」され始めた頃であったと思う。それ以降、都内の二番館などでは「加藤隼戦闘隊」などが結構ロングランを続けたりもしていた。で「空の神兵」だがこの映画で心に残っているのは何といっても 高木東六作曲の主題歌である。日本軍が勝ち進んでいた頃の軍歌であるから、とにかく明るく勇ましい。この後日本軍は敗退し、玉砕、餓死、特攻、そして原爆と、悲惨な最期を遂げることになる。余談であるが、このような「軍歌」の変遷を噺にした川柳川柳(落語家)が大変に面白い。YouYubeにもあるのでご紹介しよう。
空の神兵
川柳 笑話歌謡史その1
川柳 笑話歌謡史その2
川柳 笑話歌謡史その3
近所の映画館では「キングコング対ゴジラ」などの怪獣映画も一家で見た記憶がある。が、いつしかその映画館も廃業し、パチンコ屋になってしまった。もう40年以上前の話である。
さて、現在では有難いことに新作映画も、レンタルやテレビ放送で比較的リアルタイムに見ることが出来るようになった。そういったものも含めて、私にとって印象に残った映画(もしくは監督、俳優)を、これから少しずつシリーズで取り上げていこうと思う。その中でまず最初に取り上げるのは、アメリカ人俳優ウィレム・デフォーである。彼の映画で始めて見たのは、レンタルのビデオ(当時はテープ)で「ミシシッピー・バーニング」だったと思う。尤もそれよりも前に、次に述べる「プラトーン」を見ていたかも知れない。制作年代を調べてみると「ミシシッピー・バーニング」の方が2年後であるし「プラトーン」は間違いなくロードショー館で見たので、あるいは「プラトーン」の方が先だったかも知れない。「ミシシッピー・バーニング」での彼は、正義感溢れる若いFBI捜査官という役どころで、アメリカ南部での「レイシズム」と真っ向から対決し、犯人を追い詰める姿に魅了された。私の年齢であればこの映画を見て「夜の大捜査線」という作品を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないだろうか?私の中でもこの二つの映画は重なっていたものである。
そのウィレム・デフォーの出演作品で次に見たのが(さっきも言ったようにこちらが先だったかも知れない)「プラトーン」だった。ベトナムで実戦を経験したオリバー・ストーン監督の自伝的映画で、戦場にあっても人間性を失わず、チャーリー・シーン演ずる主人公の新兵の尊敬を受けるエリアス軍曹を演じていた。特にベトナム人村での虐殺行為を描いたシーンには吃驚した。当時私は「やっとアメリカにもこんな映画を作る監督が出てきたのか」と感動した覚えがある。これまでにも何度か引き合いに出してきたように、私が日本映画界に望むのはこのような視点の戦争映画である。その後「プラトーン」はテレビなどで再三放映されているので見ておられる方も多いであろう。その後オリバー・ストーンとのコンビで作られた作品には「7月4日に生まれて」がある。同じくベトナム戦争モノである。車椅子で帰国したトム・クルーズ演ずる主人公が、戦場で誤って射殺した戦友の両親を訪ねて謝罪するという重たい内容の後、反戦活動に目覚め、遂には民主党から政治の世界に入っていくという内容であった。ここでのウィレム・デフォーは脇役に徹しており、前半自堕落に落ち入った主人公と共に、半身不随の車椅子で酒とマリファナに溺れるヒッピーのような生活を送るという役である。
これらのオリバー・ストーンの作品の影に隠れて目立たないが、1989年年に作られた「カジュアリティーズ」(Casualties of War ブライアン・デ・パルマ監督) はプラトーン以上の衝撃を私に与えた。マイケル・J・フォックス 、ショーン・ペン 主演のこの映画を皆さんに是非見て頂きたいと思う。決して後味の良い映画ではない。が、我々日本人が深く考えなければならない主題を扱った映画である。
2010年01月14日
懐かしの映画1
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ウィレム・デフォーの出演する「プラトーン」は私も映画館でみ見ました。渋い役を演じていましたね。
映画自体もとても印象に残っています。他のオススメの映画も見てみようと思っています。
空の神兵、「真白きバラの 花のよう」と覚えてました(笑)。
川柳川柳さんは、圓生の弟子なんですね。面白いですね。
とても楽しい記事でした^^
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