どういう訳かアジア人はヨーロッパ人に比べて、都市景観(自分たちの住む街の「醜くさ」)に不感症であるようだ。東京、香港、上海、台北、シンガポール。これらの都市の中で「架空電線」と「広告・看板」の両方が存在し、都市景観を害しているのは、東京だけであり、それは日本のすべての都市について言えることである。香港、上海、台北、シンガポール、いずれの都市も「電信柱」が無いのだ。事ここに至っては、かつて自民党がとことんバカにしてきた東ヨーロッパの「社会主義国」のみならず、現在も「開発途上国」と呼んでバカにし続けているアジア諸国に、我が国は完全に追い越されていることになる。今に中国にも追い抜かれるのは間違いないだろう。
今から何十年も前、経済成長を続けている頃に「電線地中化」を公共事業として進めておけば、日本のインフラはとっくにヨーロッパに追いついていたはずである。世界でも有数の地震多発国である日本にとって「電線地中化」は、他のどの国よりも「切実な要求」であるのにも拘わらずの怠慢である。それをせずに、無用なハコもの公共事業ばかりを推進してきた自民党政権の罪は極めて重いと見るべきであろう。
私はもう何十年も前から「電信柱」「架空電線」が、日本の「恥」であると指摘し続けてきたが、周りの友人や身内からはどういう訳かほとんど賛同は得られなかった。賛同が得られないというより、彼らは基本的に「無関心」なのだ。「架空電線」は「恥」どころか景観の悪い都市に暮らすことは、日本人の精神に悪影響を与えている、とすら私は考えている。例えば子供の情緒不安定や、大人の精神疾患の遠因にもなっているのではなかろうか?私など、精神的にすぐれない時に、電信柱が林立し、架空電線が空を埋め尽くした街を歩いていると、さらに気が滅入って来て、持病の鬱状態が悪化してしまうほどだ。どうも一般の人々はそのように感じないようであるが、その鈍感さが私は羨ましいほどである。
しかし、最近インターネットが普及するようになって、私と同じ考えを持つ「同好の士」が少なからずいることが分かって来た。そういったブロガーの存在で、この日本の「電線地中化」が少しずつでも進むことを願って止まない。
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