2009年08月02日

ほくそ笑む日本の金持ち達

@日本の所得税累進課税が、ヨーロッパに比べて緩いこと
Aそこに逆進性の強い健康保険料がプラスされること
Bさらに金持ちの配当所得の分離課税税率は、世界最低レベルの税率であること
Cその結果、可処分所得に大きな差が生じていること
Dにもかかわらず、政治的に富の再配分はなされないこと
Eその結果多数を占める下層所得者が、憲法に保障された最低の生活すらも享受出来ないこと
Fそして更に、逆進性の消費税がそれらの低所得者に追い打ちをかけること
Gスウェーデンでは企業が社会保障費を全額負担し、日本のように労働者と折半ではないこと
Hその結果、企業の法人税実質負担は日本のほうが低いということ

というような、単純な事実を指摘する「学者」が、テレビ番組には殆ど登場しないことが私には不思議である。
森永卓郎のような人がたまに何か言ったりするが、説得力がない。その理由は@を言わないからだと思う。消費税の逆進性は@によって「変化」するのだ。誤解を恐れずに言えば、スウェーデンの消費税は日本より「平等」なのだ。だから北欧諸国では消費税率は高くてもいいのだ。高度の累進課税(及び累進的社会保障負担)により可処分所得が「平準化」されている北欧では、消費税すら限りなく平等なのである。

というようなことを私はこれまで何度も言ってきたような気がする。しかし基本的に、このような日本の現状を変えて、ヨーロッパ並みにしようと言う政党は、残念ながら日本共産党だけのようだ。自民党は論外として、民主党もこの根本的な「貧困」への対処法を、はっきりと提示することはない。結局は累進課税に手を付けずに「消費税増税やむなし」に持って行く魂胆であろう。所得税の累進税率改定は、「高速道路の無料化」よりも「子供手当」よりも、はるかに根源的な貧困救済の方策なのだが所詮、民主党の支持母体は、大企業・大資産家である。
「社会民主主義」の世の中を作れるのは、日本では社民主義政党ではなく、私は共産党だけのような気がする。
 
posted by takashi at 17:24 | Comment(7) | TrackBack(3) | 時事、政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あなたの記事に感服いたしました。わたしのブログで勝手に紹介させていただきましたのでお知らせいたします。もし問題がありましたら、下記ブログに抗議のコメントをお願いいたします。直ちに削除いたします。
今後とも、ご活躍をお祈りいたします。
http://blog.goo.ne.jp/komatsu3_2006/
Posted by komatsu at 2009年08月04日 17:56
komatsu様、
ありがとうございます。問題などあろうはずはございません。トラバさせていただきました、今後ともよろしくお願いいたします。たかし
Posted by たかし at 2009年08月04日 18:54
ご慧眼です。

大手企業がスポンサーの報道番組や、新聞報道のおかげで、消費税増税を考えなければ無責任だと考えに庶民の多く(といってもテレビのインタビューに出てくる人たちという意味ですが)が洗脳されているという状態になっていることがむしろ問題なのかもしれません。もっといえば第三の権力であるところのマスコミが、経団連や官僚の出先機関に成り下がっているところが問題なのかもしれません。

消費税が初めて導入された竹下政権下の日本であれば、まだまだ日本には富裕な中間層が多くいましたので、消費税の「広く浅く負担」という説明は妥当性はあったとおもいますが、ここまで格差が広がり、セーフティネットがずたずたにされてしまったなかで、安易な消費税の増税は、むしろその逆進性の性質から、かえって貧富の差を拡大する方向に働くことをマスコミは本来なら声を大きく指摘するべきなのだと思います。

少子高齢化を考えると、将来的には消費税増税はやむを得ないのでしょうが、それであれば、所得税の課税比率の見直し、法人税の(大企業ですが)の税負担の増加をし、せめても食料品を非課税とするなどの逆進性の緩和を図るなど何らかの対応をした上での増税であるべきだと考えます。
おそらくそのような社会はたかしさんのおっしゃるような北欧型の社会民主主義国家になっていくのだと思います。

また、そのような議論さえ、「無責任」の一言で片付けるこの国の国民は本当に権力に弱いと思います。
Posted by nao at 2009年08月04日 22:53
naoさん、こんばんは、
私が最近思うことは、日本の社民主義政党には「社会民主主義」の世の中は作れないのじゃないかということです。作れるのは共産党だけじゃないかと。そのように思う「根拠」があります。実はスウェーデンでは保守派のキリスト教民主党から社会民主党、左翼党まで、つまり右から左まで全ての政党が「社会福祉」を第一の政策に掲げているのです。そうでなくては国民の支持が得られないからです。

それに対し日本ではどうかと言うと「高福祉」は左翼政党だけの「専売特許」なのです。右に行けば行くほど「社会福祉」が確実に「無視」され「後退」するのです。しかも日本には左派・中道政党がぐいぐい保守(=右)に引っ張られるという現象があります。日本の社会民主主義政党は「すぐに右傾化する」という性質を持っているわけです。これは戦前の「社会大衆党」戦後の「民主社会党」「社会党」現在の「社民党」まで一貫した特徴です。

何と言ったらいいのか、政党の「立ち位置」が西欧とは「一メモリずれている」感じでしょうか?ぶれないのは共産党一党のみです。結論を言うと日本の社会民主主義政党には「社会民主主義」の世の中は作れないということになります。つまり、共産主義を目指す過程において一時的に形作られる「経過的」政治体制としての「社会民主主義」(=日本共産党言うところの「資本主義の枠内での改革」)に頼るほかに方法はないのではないか?これが最近の私の頭の中にある日本の将来の予感・展望です。

少なくとも社民党には過度の期待はしないほうが良いでしょう。民主党、公明党、自民党にずるずる引っ張られます。過去を見れば明らかです。
Posted by たかし at 2009年08月05日 00:43
ついでに日本とスウェーデンの個人所得税制の違いを簡単におさらいしてみます。

<日本の税制>
・累進課税が緩い
・最高税率が低い
・課税最低限が低い
お馴染の「金持ちが保護されて、貧乏人が虐げられる税制」です。

<スウェーデンの税制>
・累進課税が急
・最高税率が高い
・課税最低限が高い
「応能負担で、弱者が保護される税制」です。

スウェーデンで意外なのは、法人税率が低いということ。それは、福祉社会の一方の担い手である「企業」の健全化(設備投資など)と社会的責任(未来への存続)を、国家が第一に考えていることの現れです。その背景に、企業に対する「性善説」があります(もちろんこれは日本の企業には通用しませんが)。ただし注意しなくてはならないのは、日本では企業・社員折半である「社会保険料」がスウェーデンでは全額企業負担であること。それを法人税にプラスすると実質法人税率は、日本より高くなるのです。

スウェーデンで特徴的なのは、法人税率が低い代わりに(とはいえ実質は日本より高いのは上で述べましたが)、企業の「儲け」が、役員報酬・賃金・給与その他の「個人所得」にまわされた時点で「所得の再配分」が平等に行なわれるという仕組みがかなり以前から確立されているということです。その結果、個人レベルで「可処分所得が平準化」(例えば労働者と経営者間で=よく言われるのが、大企業の社長とその会社で働く掃除のおばさんの生活水準がそんなに違わない等)される。このサイクルが、実にうまく機能しているのがスウェーデンという福祉国家なのです。

これがスウェーデン型福祉社会の仕組みです。なおスウェーデンにおける「福祉国家」の定義は「国家の存在理由が、社会福祉ただ一点にある国」だということです、素晴らしいですね。
Posted by たかし at 2009年08月05日 01:00
お邪魔します。
TB有難うございます。
税制度についてご指摘の通りですね。
民主党は「社会民主主義」の政党か否かは実際に政治をさせてみないと分からないでしょうね。
日本での社会民主主義政党はその名も社民党、別名オムライス党ですからお忘れなきようお願いします。
ただし、現状では共産党が社民主義として非常にしっかりしたマニフェストを出している事も事実ですね。
そしてヨーロッパの社民主義が崩壊し、北欧のみに残る謎を解かない限り、日本での社民主義も崩壊する可能性が大きくなる事だと思います。
Posted by 飯大蔵 at 2009年08月10日 23:47
飯大蔵さん、いつもお世話になっております。
テレビをつければ、のりピーだか柿ピーだかの覚せい剤ばかり。私はこのタレントの顔も知りませんでした。それにしても衆院選の公示もまだだというのに、もう国民は政治に飽きてしまったのでしょうか?もっともテレビ番組はテレビ局が作るのだから、飽きたのはマスコミの方か?全国を遊説して歩いている党首や候補者の動向の方が、私はよっぽど気になるんですがね。テレビは国民の目を政権交代から逸らしたいのでしょうね。誰かがいみじくも言ったように、選挙当日は国民には寝ていて欲しというわけでしょう。
Posted by たかし at 2009年08月12日 10:33
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